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ペットフードの目的の表示

1. ペットフードの目的の表示方法
2. 総合栄養食とは
3. 総合栄養食の栄養基準
4. AAFCO栄養素プロフィールについて
5. 総合栄養食の表示

1. ペットフードの目的の表示方法

『ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則』第3条(2)は、ペットフードの目的の表示について次のように定めています。

 ペットフードの目的の表示は、次に定める基準に従い、「総合栄養食」、「間食」、「その他の目的食」のいずれかとする。
総合栄養食……規約第5条第1項(neco:後述)に定める「栄養成分の基準」を満足するペットフードについて表示できることとし、同条第2項の規定により、当該ペットフードが総合栄養食として適用される成長段階を併記するものとする。成長段階は、栄養要求量の高い順に、次ぎのとおりとする。
@「妊娠期/授乳期」
A「幼犬期・幼猫期/成長期又はグロース」
B「成犬期・成猫期/維持期又はメンテナンス」

 このほか、これら3段階の全てを満たすものとしては「全成長段階又はオールステージ」とすることができる。
間食……おやつ、スナック、又は褒美として時を選ばず、限られた量を与えられることが意図されているペットフード
 なお、間食の表示に替えて、
おやつ、スナック、その他これらに類似する表示にすることができる。
その他の目的食……特定の栄養を調整する又はカロリーを補給する、或いは嗜好増進等の目的を満たすペットフードであって、給与方法に記載された他のペットフード又は食材とともに与えることを意図されたもの、或いは食事療法を目的としたもの。
 なお、表示は、
栄養補完食、カロリー補給食、副食、或いは特定療法食及びその他これらに類似する表示にすることができる。ただし、「総合栄養食」と紛らわしい表示・表現は行ってはならないものとする。

つまり、ペットフードには「総合栄養食」「間食」「その他の目的食」の3種に分類され、「総合栄養食」には適用される成長段階の併記が義務付けられています。また、間食、その他の目的食の表現方法も規定されています。

この3種の中で、最も重要なのが、「総合栄養食」です。これについて詳細に見ていきましょう。

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2. 総合栄養食とは

『ペットフードの表示に関する公正競争規約』第5条第1項は、総合栄養食を次ぎのように定義しています。

この規約において「総合栄養食」とは、ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれた製品であって、施行規則に定める栄養成分等の基準を満たすものをいう。

つまり、水と総合栄養食だけを与えていれば、猫たちの健康は保たれることになります。ペットフードに対して、それ程重要な位置付けを与えるからには、信頼のおける基準の則っていなければならないはずです。その基準を『施行規則』第4条では次ぎのように規定しています。

規約第5条第2項(neco: 第1項の誤りと思われる)に規定する「施行規則に定める栄養成分等の基準」は、次のいずれかとする。
(1)最終製品について、別項アに規定する方法(neco: 後述)によって行った分析試験の結果が、別項ア(neco: 後述)に規定する栄養基準に合致すること。
(2)別項イ(neco: 後述)に規定する成長段階の給与試験の結果が、それぞれの評価基準に合致すること。
2. 前項にいう栄養基準又は評価基準は、
国際的に認められた動物栄養に関する機関のもので、最終製品中での栄養成分の有用性及び消化吸収の双方を考慮しているものとする。なお、これらの基準に代わるものとして公正取引協議会が適切と判断した場合には、速やかに新たな基準を採用するものとする。

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3. 総合栄養食の栄養基準

では、別項が規定する分析試験の方法と栄養基準、給与試験と評価基準とはどのようなものでしょう。別項ア(2-1)には、「キャットフードの分析方法」(平成13年12月1日改訂版)が、(2-2)には「キャットフード栄養基準」【1997 AAFCO】が、別項イには、「キャットフードが『総合栄養食』であることを証明するためのプロトコール(試験要領)」が成長段階別に記されています。このプロトコールはAAFCO(全米飼料検査官協会)1998年版に準拠しています。

AAFCOの栄養素プロフィールと給与プロトコルは、現段階で最も信頼に足る基準として、広く採用されている国際基準ですが、日本の施行規則においても、この2つを、「総合栄養食」を認定する基準としているのです。

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4. AAFCO栄養素プロフィールについて

AAFCO(全米飼料検査官協会)は、一般的な原材料を使ったドッグフード及びキャットフードに対する実践的な栄養素プロフィールを確立する目的で、犬猫栄養学専門家小委員会を設立しました。ここで、確立したプロフィールが「AAFCOドッグフード栄養素プロフィール」と「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」です。

「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」は、非精製複合原料から作られるキャットフードの実践的な最低および最高栄養基準を設定することを目的としています。これは、NRC(動物栄養学に関する米国研究評議会)が設定した数値とは異なります。NRCの数値は、「極めて消化の良い精製食品に基づき、成長のために必要な最低栄養条件を確定」するもので、AAFCOのプロフィールは、NRCの数値に、新しい研究データや経験、さらに原材料の加工過程や保管の影響、各栄養素の消化・吸収率等などの見地から修正を加えたものです。

「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」には、栄養素の最低値と一部最高値が示されています。最高値は、その栄養素を一定以上に給与すると中毒の危険のある栄養素に対して設けられています。つまり、最高値が示されている栄養素については、その数値以下であれば安全であることになります。一方、最高値が示されていないのは、その毒性に関する情報が不足しているためであり、その栄養素をどんなに大量に与えても安全であるという意味ではないことに留意する必要があります。

AAFCOでは、「AAFCO給与プロトコル」を別途定めており、このプロトコルによって実証された影響基準への適合性を持つ製品は、「AAFCO栄養素プロフィール」で示された各栄養素の最高値・最低値を守る必要はないとされています。つまり、給与プロトコルでの実証データの方が、栄養素プロフィールへの適合性より優位にあるわけです。

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5. 総合栄養食の表示

現段階では、「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」の数値に適合している、もしくは「AAFCOキャットフード給与プロトコル」の評価基準に合致している製品には、『総合栄養食』と認定されることになりますが、施行規則第4条第3項では、『総合栄養食』という表記の他に、次のような表示を行うことと規定しています。

「総合栄養食」を表す旨の表示をする場合には、次に定める表示又はこれと同等と認められる表示を行うものとする。

(1)「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める分析試験の結果、総合栄養食の基準を満たすことが証明されています。」
(2)「この商品は、ペットフード公正取引協議会の定める給与試験の結果、総合栄養食でることが証明されています。」

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