『ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則』第3条(2)は、ペットフードの目的の表示について次のように定めています。
つまり、ペットフードには「総合栄養食」「間食」「その他の目的食」の3種に分類され、「総合栄養食」には適用される成長段階の併記が義務付けられています。また、間食、その他の目的食の表現方法も規定されています。 この3種の中で、最も重要なのが、「総合栄養食」です。これについて詳細に見ていきましょう。 『ペットフードの表示に関する公正競争規約』第5条第1項は、総合栄養食を次ぎのように定義しています。
つまり、水と総合栄養食だけを与えていれば、猫たちの健康は保たれることになります。ペットフードに対して、それ程重要な位置付けを与えるからには、信頼のおける基準の則っていなければならないはずです。その基準を『施行規則』第4条では次ぎのように規定しています。
では、別項が規定する分析試験の方法と栄養基準、給与試験と評価基準とはどのようなものでしょう。別項ア(2-1)には、「キャットフードの分析方法」(平成13年12月1日改訂版)が、(2-2)には「キャットフード栄養基準」【1997 AAFCO】が、別項イには、「キャットフードが『総合栄養食』であることを証明するためのプロトコール(試験要領)」が成長段階別に記されています。このプロトコールはAAFCO(全米飼料検査官協会)1998年版に準拠しています。 AAFCOの栄養素プロフィールと給与プロトコルは、現段階で最も信頼に足る基準として、広く採用されている国際基準ですが、日本の施行規則においても、この2つを、「総合栄養食」を認定する基準としているのです。 AAFCO(全米飼料検査官協会)は、一般的な原材料を使ったドッグフード及びキャットフードに対する実践的な栄養素プロフィールを確立する目的で、犬猫栄養学専門家小委員会を設立しました。ここで、確立したプロフィールが「AAFCOドッグフード栄養素プロフィール」と「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」です。 「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」は、非精製複合原料から作られるキャットフードの実践的な最低および最高栄養基準を設定することを目的としています。これは、NRC(動物栄養学に関する米国研究評議会)が設定した数値とは異なります。NRCの数値は、「極めて消化の良い精製食品に基づき、成長のために必要な最低栄養条件を確定」するもので、AAFCOのプロフィールは、NRCの数値に、新しい研究データや経験、さらに原材料の加工過程や保管の影響、各栄養素の消化・吸収率等などの見地から修正を加えたものです。 「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」には、栄養素の最低値と一部最高値が示されています。最高値は、その栄養素を一定以上に給与すると中毒の危険のある栄養素に対して設けられています。つまり、最高値が示されている栄養素については、その数値以下であれば安全であることになります。一方、最高値が示されていないのは、その毒性に関する情報が不足しているためであり、その栄養素をどんなに大量に与えても安全であるという意味ではないことに留意する必要があります。 AAFCOでは、「AAFCO給与プロトコル」を別途定めており、このプロトコルによって実証された影響基準への適合性を持つ製品は、「AAFCO栄養素プロフィール」で示された各栄養素の最高値・最低値を守る必要はないとされています。つまり、給与プロトコルでの実証データの方が、栄養素プロフィールへの適合性より優位にあるわけです。 現段階では、「AAFCOキャットフード栄養素プロフィール」の数値に適合している、もしくは「AAFCOキャットフード給与プロトコル」の評価基準に合致している製品には、『総合栄養食』と認定されることになりますが、施行規則第4条第3項では、『総合栄養食』という表記の他に、次のような表示を行うことと規定しています。
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