『ペットフードの表示に関する公正競争規約』第8条は、不当表示の禁止について、次のように定めています。
事業者は、ペットフードの取引に関し、次の号に掲げる表示をしてはならない。
(1)ペットフードでないものがペットフードであるかのように誤認されるおそれがある表示
(2)客観的根拠に基づかない、特選、特級等の表示
(3)他の事業者又はその製品を中傷し、又は誹謗する表示
(4)原産国について誤認されるおそれがある表示
(5)ペットフードの成分、原材料又は製造方法について、実際のもの又は自己と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良であると誤認されるおそれがある表示
(6)賞を受けた事実又は推奨を受けた事実がないにもかかわらず、受賞又は推奨を受けたと誤認されるおそれがある表示
(7)内容物の保護、品質保全又は製造技術上必要な限度を超えて著しく過大な容器包装を用いること
(8)前各号に掲げるもののほか、商品の内容又は取引条件について、実際のもの又は自己と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認されるおそれがある表示
また、『施行規則』では、上記第5号、第6号につき、次のように補足しています。
第5条
規約第8条第5号に掲げる不当表示には客観的根拠に基づかない「無添加食品」、「自然食品」等の表示が含まれる。
第6条
規約第8条第6号に規定する賞を受けた旨を表示する場合にあっては、それを受けた時期及び授賞者の氏名又は名称を記載するものとする
これらの不当表示を大まかに分けると、誤認をうける表現、中傷表現、科学的根拠に基づかない断定・強調表現の3つになるかと思います。
この内、飼い主として特に留意する必要があるのは、科学的根拠に基づかない断定・強調表現ではないでしょうか。
これらについては「規約」「規則」を運用する際の「解説」に、具体的に記されています。要約すると次のようになります。
【不当表示の例】
「完全」:科学的に実証しにくいため不可
「新鮮」「フレッシュ」「生」:加工品である一般的なペットフードにおいては科学的根拠なし。原材料について該当するものがある場合は、それを明示すること
「無添加」:「無添加」とだけ表示できるのは、『食品衛生法施行規則別表第ニ」で定められた351品目と厚生省食品衛生局長通達「化学的合成品以外の添加物リスト」にリストされた489品目全てを含まない場合のみ。その場合は、その旨を明示すること。特定の成分を含まないという場合は、その成分名を併記する必要あり
「一切使用していない」「○○などは不使用」:特定する内容成分以外の物質にまで言及するような強調表現なので、使用不可。また特定成分の不使用が、他の商品より著しく優れているというような表現も不可
「自然」「天然」「ナチュラル」:加工品である一般的なペットフードにおいては科学的根拠なし。原材料につき、客観的根拠に基づくものであれば可
「ヘルシー」「健康な○○」:なぜ他より健康であるか、客観的事実を併記する必要あり
「内容成分の強化」「機能性表示」:事実と共にどのような機能があるかを具体的に併記する必要あり
「特選」「特級」「最高」「宸P」「金印」:不可
「○○がたっぷり」「○○強化」「低○○」「○○控えめ」:具体的に何に対してどれくらいの差があるのかを、自社比などを用いて明記
「この製品は安全」「○○だからご安心ください」:なぜ安心、安全なのか科学的根拠を明示
「効果がある」「効能として○○がある」「○○を防止(予防)する」:不可。特定の効能を連想させる表現も不可
これらの表現を目にしたら、鵜呑みにせずに、必要な科学的根拠が示されているかを注意深く見る必要があるでしょう。
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