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1995年10月25日 初版発行 |
2002年11月に発行された『猫もよう』に先立って発行されたのが、本書。猫の写真を撮り始め、猫を求めてあの町、この路地を行くうちに、猫の背景にある街、東京に関心をもつようになった著者。生まれも育ちも東京でありながら、その東京を知らないままに過ごしてきたことを知らされる。著者の切り取る光景は、小さな発見や新鮮な驚きに満ち、そんな光景の中に写し出された猫には、著者のあたたかい視線が溢れている。 …私達と同時代に生き、人間によりその運命を左右されてはいるが、ひたむきに、たくましく現在に順応しながら生きる東京在住の猫。様々な環境に生きる彼らを見つめていると、それは猛スピードで変わりゆく現代社会の変化の中にとまどう私達の姿のように思えてくる。(本書まえがきより) 著者にとって、東京在住の猫たちは同胞であり、その真摯に生きる姿に心からのエールを送り続ける。 全体としてのビジョンがないまま、部分部分が好き勝手に変わり続ける東京…その中にあっても、時折立ち止まり、自分の行く道を確かめることの大切さを、本書は教えてくれているような気がする。 本書は、出版社解散のため、書店では入手できなくなっています。 |