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5. ことわざに見る猫 <イタリア語>

イタリア語で雄猫は gatto、雌猫は gatta。
雄の子猫は gattino、雌の子猫は gattina。
イタリア語のことわざや慣用句に登場する猫たちは
どんなイメージなのでしょう。
ちょっと覗いてみましょう。


essere un gatto sornione
fare la gatta morta
far ridere i gatti
giocare con la propria vittima come fa il gatto contopo
non portare la gatta nel sacco
prendersi una gatta da pelare



home

avere occhi da gatto
avere sette siriti come i gatti
comprare la gatta nel sacco
Di notte [Al buio] tutti i gatti sono grigi [neri].
essere come cani e gatti
essere come il gatto e l'acqua bollita
essere quattro gatti
essere un gatto sornione
fare la gatta morta
far ridere i gatti
Gatta ci cova!
Gatto scottato teme l'acqua fredda.
giocare con la propria vittima come fa il gatto contopo
I figliuoli dei gatti pigliano i topi.
La gatta frettolosa fa i gattini ciechi.
Non c'era un gatto.
non portare la gatta nel sacco
prendersi una gatta da pelare
Quando manca la gatta i topi ballano.
Tanto va la gatta al lardo che ci lascia lo zampino.


参考文献


I figliuoli dei gatti pigliano i topi. 蛙の子は蛙
「猫の子もネズミを捕える」=「蛙の子は蛙」


La gatta frettolosa fa i gattini ciechi. 急いては事を仕損じる
慌てた母猫は目の見えない子猫を産む」=「急いては事を仕損じる、急がば回れ」


Quando manca la gatta i topi ballano. 鬼の居ぬ間に洗濯
「猫の居ぬ間にネズミは騒ぐ」=「鬼の居ぬ間に洗濯」


Tanto va la gatta al lardo che ci lascia lo zampino.
危ない橋を渡って甘い汁を吸い続けると、いつかは元も子もなくなる
「猫が何度もラードを盗めば、いつかは罠に足を取られる」が原義。「悪事を続けると、いつかは露見して元も子もなくなる」ということ。
英語圏の猫が盗むものはクリームだったが、イタリアの猫はラードを盗むらしい。


Gatto scottato teme l'acqua fredda. 羹に懲りてなますを吹く
「火傷した猫は冷たい水も怖がる」=「羹に懲りてなますを吹く」


Di notte [Al buio] tutti i gatti sono grigi [neri]. 夜はどの猫も灰色 [黒]
「夜はどの猫も灰色(黒)に見えてしまう」ということから、「適切な時を選べ」という意味で使われる。
英語にも同じような表現があったが、こちらは、「美貌などは一皮剥けばみな同じ」という意味合いだ。同じ表現でも、大分ニュアンスが違うようだ。


Non c'era un gatto. 人っ子一人見当たらなかった
「猫の子一匹いなかった」=「人っ子一人いない」
猫に優しい国、イタリアでは、今も多くの猫たちが外を歩いているようだから、この表現も的を射ているが、仮に日本に同じ慣用句があったら、いずれ死語になってしまうのかもしれない。


Gatta ci cova! 何か落とし穴があるぞ!
「雌猫は企む」が原義。「何か隠していることがある」とか「裏に何か落とし穴がある」という意味で使われる。
イタリアでも雌猫は陰険なイメージなのだろうか。


avere occhi da gatto 猫のように暗がりでも目が利く
「猫のよ目を持つ」=「猫のように暗がりでも良く見える」。vederci come i gatti で「(猫のような)鋭い眼力を持っている」という意味になる。


avere sette siriti come i gatti 七転び八起きする
「猫のように7つの精神を持つ」が原義。「逆境からたやすく立ち直る」という意味で使われる。
猫の気分は目まぐるしく変わるように見えることから、7つの精神を持つということになったのだろう。猫は命も9つあり、それぞれに7つの精神を持っているとしたら、大変だ。


comprare la gatta nel sacco 品定めせずに買う
「袋の中のメス猫を買う」=「よく確かめないでモノを買う」


essere come cani e gatti 犬猿の仲
「犬と猫のようだ」=「犬猫の仲」
イタリアでも不仲の代名詞は犬と猫。犬と猿の組み合わせは、やはりマイナーなのだろうか。


essere come il gatto e l'acqua bollita そりが合わない
「猫と沸騰したお湯のようだ」=「そりが合わない」
沸騰したお湯とそりが合う者などいないだろうに、どうして猫が引き合いに出されたのだろう。そう云えば、イタリアでは羹に懲りて膾を吹くのも猫だった。


essere quattro gatti 人数が少ない
「猫が4匹」=「人数が少ない」。
猫が4匹もかたまっていたら、猫が一杯、という感じになるだろうに、4という数字で「少ない」を表現するとはユニークだ。


essere un gatto sornione  ずる賢さを隠し持っている人
「陰険な猫」=「無関心を装って、ずる賢さを隠している人」
明るいお国柄のイタリアの猫も陰険なイメージなのだろうか?


fare la gatta morta 猫をかぶる
「死んだ雌猫の振りをする」が原義。「とぼける」「猫をかぶる」「見て見ぬ振りをする」などの意味に使われる。


far ridere i gatti 滑稽なことをする
「猫を笑わせる」=「誰もが吹き出さずにはいられないような滑稽なことをする」
猫が笑うほど滑稽なこと、と引き合いに出されるのは、猫がもっとも「笑う」と縁遠いと考えられているから。確かにそんな一面もあるが、猫って結構ひょうきんですよね。これも猫ならではの多面性かも。


giocare con la propria vittima come fa il gatto contopo 猫がネズミをなぶるように虐める
「猫がネズミにするように犠牲者をもてあそぶ」ということ。


non portare la gatta nel sacco 隠し事をしない
「猫を袋に入れて運ぶことはしない」が原義。


prendersi una gatta da pelare 厄介事を引き受ける
「雌猫の毛をむしるために捕まえる」=「手に負えない厄介な仕事を引き受ける」
「猫の毛をむしる」という発想はどこから湧いたのだろうか。確かにそれは無理難題。手負いになるのは、こちらの方。比喩としては面白い



【参考文献】
「ねこ式」イタリア語会話
  著者:にむら じゅんこ
  発行所:株式会社三修社
  2002年7月20日 第1刷発行