◆A
cat has nine lives. 猫に九生あり
(猫が生来敏捷で狡智なため、他の動物よりもしぶとく生きのびると考えられることから)猫は容易に死なないという意味。
一説には、猫は高い所から落としてもちゃんと立つことから、こう言われるようになったとも。
like a cat with nine lives
(九生を持つ猫のように=しぶとい/しぶとく)とか、have nine lives like a cat (猫のように九生を持つ=しぶとい)というようにも使われる。
もともと、A cat has nine lives
and a woman has nine cats' lives. (猫に九生あり、女に九猫の生あり)という長い形で使われていた。猫と女は執念深くて容易に死なない、ということのようだが、猫と女のリンクは日本に限ったことではなさそうだ。
A woman has as many lives
as a cat. (女は、猫と同じだけ多生を持つ)、Women have seven lives and cats have
nine. (女は七生、猫は九生)という表現もある。
ちなみに「9」は西洋では古来神秘的な数とされ、成句やことわざに多くみられる。
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◆Who'll
bell the cat? 言うは易く行うは難し
who shall tie(hang)
the bell around the cat's neck?
だれが猫の首に鈴をつけるか=だれが勇気を奮って難局に立ち向かうか、という意味。
イソップ物語の『ねずみの会議』に由来した慣用句だ。
大きな田舎の家にねずみたちが住みついていたが、やってきた元気のいい猫に仲間をどんどん捕られてしまい、どうしたものかと会議を開く。猫の首に鈴をつければ猫が近付くのがわかり、穴に逃げ込むことができるのでは、という妙案が出て、一同大賛成。ところが、一体だれが猫の首に鈴をつけにいくのか、という段になり困り果てる。
bell the cat で「進んで難局に当たる」「大胆な事を企てる」という意味に使われる。
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◆A
cat may look at a king. 卑賎な者にも相応の権利はあるもの
猫でも王様が見られる、つまり、身分の卑しい者でも目上の者に対してある種の権利を有しているという意味。偉ぶった人や身分の高いに人に対して、人間に根本的な違いはないことを示唆する表現。マザーグースの
A cat may look at a King
And surely I may look at an ugly thing
に由来する。「王侯何かあらん」「彼も人なり我も人なり」といったところか。
それにしても、我らが愛する猫が「卑賎な者」の代名詞のように使われるとは、何たること!!!
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◆Care
killed the [a] cat. 心配は身の毒
九生ある猫でさえ、心配のために死ぬ=心配は身の毒、ということ。Care will kill a cat. とも言う。16世紀後期から見られる表現。
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◆Curiosity
killed the cat. 好奇心もほどほどに
九生ある猫でさえ好奇心のために死ぬ=他人のことをあまり詮索すると、ひどい目にあう、ということ。
猫は好奇心旺盛。その好奇心が災いして、ケガをしたり、閉じ込められたり、思い掛けない災難を呼ぶことも確かにありますね。
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◆When
the cat's away, the mice will [do] play. 鬼の居ぬ間に(命の)洗濯
猫がいなければネズミの天下=恐い人、看視する人がいない間にのんびりすること。日本では「姑の留守は嫁のお祭り」とも言う。16世紀から使われていることわざ。
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■All
cats love fish but fear to wet their paws. 猫は皆魚が好きだが手を濡らすのを嫌がる
物が欲しいくせに、それを得るための努力や危険を冒すのを嫌がる者に対して用いる。
The cat would eat fish but
she will not wet her feet.
The cat will fish eat, but she will not her feet wet.
The cat would eat fish and would not wet her feet.
などのバリエーションもある。13世紀前期から見られる表現。
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■Cat
after a kind, (a) good mouse hunt (/mouse-hunt). 猫と庄屋に取らぬはない
猫は天性によって、上手なネズミ捕りであるという意味。夫が妻の勤勉さを褒める時などに用いられるとか。13世紀後期から使われている表現。
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■Cats
eat what hussies spare. 親は木綿着る、子は錦着る
主婦が倹約して食べないでおくものを猫が食べる、つまり親が爪に火を灯すようにしてためたお金などを子供が湯水のように蕩尽してしまう、という意味。Cats eat what the good wife spares. とも言う。13世紀前期から見られる言い回し。
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■The
cat is hungry when a crust contents her. ひもじい時にまずい物なし
パンの皮で満足する猫は空腹だ、という意味。17世紀前期から使われるようになった表現。
飽食のneco家の猫たちに聞かせてあげたいことわざだが、その元凶は飼い主たるnecoなんですよね。
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■Has
the cat got your tonge? どうして黙っているの?
怯えたて、または恥ずかしがって口を開かない人、子供に対して用いられる表現。なぜ口がきけないの?どうして黙っているの?という意味。
猫にはじっと見つめる習性があり、その様子を突然おとなしくなった人にあてはめたのかもしれない。また一説には、この cat は『猫』ではなく、cat-o'-nine-tails
と呼ばれる9本のひもを付けた鞭を指すとも、kat という心臓に効く薬を指すとも言われる。鞭で舌をからめ取られたら口はきけないだろう。また、kat
という薬は副作用として一時的に口がきけなくなったそうだ。
The cat's got one's tongue. (〜は口がきけないみたい)のように、肯定文で使うこともある。
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■let
the cat our of the bag (うっかり)秘密を漏らす、秘密を口外する
かつて、猫を袋に入れて市場に持っていき、豚だと偽って売り付けるという詐欺が行われていたそうな。まぬけな客が確かめずに買えばしめたもの。もし袋を開けようものなら、「猫を袋から出す」ことになり、悪だくみもばれることになる。こんな故事からうまれた言い回しで、The
cat is out of the bag. 「秘密が漏れている、ばれている」のようにも使う。
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■Let
the cat wink and let the mouse run. 猫には目をつぶってもらい、ネズミを走り回らせよ
強い方が我慢すれば、いざこざが避けられる、という意味。16世紀前期から見られる表現。Let the cat wink and the mouse runs. とも言う。
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■put
the cat among the pigeons 面倒を引き起こす、騒動を起こす
思い掛けないことや困惑させるようなことを言ったりしたりして、面倒や騒動を引き起こした時に使う表現。確かに鳩の群れの中に猫を置けば、大騒動となるだろう。pigeons
の代わりに canaries (カナリア)と言うこともある。
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■
cat-and-dog 喧嘩が絶えない
猫と犬は仲が悪く、喧嘩ばかりしていると考えられていたことから、このような表現が生まれた。
a cat-and-dog life「喧嘩の絶えない暮らし(通例、夫婦喧嘩についていう」、lead (live) a cat-and-dog life 「喧嘩ばかりして暮らす」のように使われる。cat-and-dogはまた、「株など投機性が強く危ない」という場合にも使われる。
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■
rain cats and dogs 雨がどしゃぶりに降る
このちょっと変わった成句の由来には、二通りの説明がある。
その1. 雷鳴といなづまが、a cat-and-dog
fight(犬と猫の喧嘩、仲の悪い者同士の喧嘩)を連想させるから
その2. 古代の神話では、猫は天気を左右して大雨を引き起こし、犬は風のシンボルで強風を招くものと考えられていたから
日本では、仲の悪いペアは犬と猿であり、猫と犬が不仲の代表というのはピンと来ないが、実際のところはどうなのだろう。
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■
The cat and dog may kiss, you are none the better friends. 猫と犬がキスすることがあっても、仲好しの友人になったわけではない
13世紀前期から見られる表現。一見仲が好さそうな猫と犬も、その本心を疑わなければならないのだろうか。
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■
fight like Kilkenny cats とことん戦う
双方倒れるまで戦う、激しく執拗に闘う、の意。
アイルランドのキルケニーの町で、兵士が二匹の猫の尻尾を結んで喧嘩させたところ、双方とも尻尾だけになるまで激しく闘った、という言い伝えから生まれた表現。
喧嘩ばかりしている犬と猫でも、猫の方が喧嘩好きなのだろうか。それにしても、尻尾を結んで喧嘩させるとは…。自分は傷つかずにスリルだけを楽しもうという、人間のエゴイスティックな惨さの方が恐ろしい。
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■All
cats are gray in the dark. 名をなすまでは、皆見分けがつかない
暗闇では猫はすべて灰色、つまり、名をなすまでは、皆見分けがつかない、という意。名をなさない限り、「その他大勢」となるわけだ。また、「美貌などは、一皮むけば皆同じ」という意味にも使われるようだ。確かに暗闇では、いくら美貌を誇っても無意味だろう。
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■grin
like a Cheshire cat にやにやする、にたにた笑う
Lewis Carrol の『不思議の国のアリス』に登場するCheshire cat のように、歯をいっぱい見せてにやにやしたり、意味もなくにたにた笑うという意味。
だがこの成句は、上記の『不思議の国のアリス』が出版された1865年に先んじて、1770〜1819にすでに見られ、その起源は不明である。
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■There's
more ways than one to kill a cat. 何かを成し遂げる方法はさまざま
猫の殺し方は一通りではない、すなわち、何かを成し遂げる方法はさまざまある、の意。同じ意味の表現として他にThere are more ways of killing a cat
than choking it with cream. (クリームで窒息させるだけが猫の殺し方とは限らない)、There's more ways than one to skin a
cat. (猫の皮を剥ぐ方法は一つではない)がある。Skin a cat のcat
は猫ではなくナマズ(catfish)だとする説もある。ナマズを料理するには、その硬い皮を剥ぐ必要があるから、ナマズと解する方が自然かもしれない。いずれにしても、何かを達成する方法はさまざまだ、という時になぜ猫の殺し方が引き合いに出されなければならないのだろう。しかし、There are more ways to kill a dog than
hanging. (犬を殺すのに絞首の他にもいろいろ方法はある)という表現もあることを付け加えておこう。
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■
The cat shuts its eyes while it steals cram. 耳を覆うて鈴を盗む
猫はクリームを盗むとき目を閉じる=人は欲にかられて悪事を働くとき、罪の意識に目をつぶるものだ、ということ。19世紀中期から見られる表現
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■
like the cat that stole the cream ご満悦で
直訳すれば「クリームを盗んだ猫のように」ということですが、大好きなクリームを失敬した猫はどんな顔つきになるか?一人悦に入っていることだろう。つまり、「満足した様子で、ご満悦で、ひとりよがりの」という意味。like the cat that ate the canary と同義
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■
The cat is in the cream pot. 何かわからないが、悲しい事件が起こったに違いない
道で奥さん連が、がやがやと騒いでいる。何が起こったのかわからないが、何か悲しいことが起こったのだろう、というような時に「猫がクリーム入れの中に落ちたのだろう」と表現する16世紀後期から見られる言い回し。
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■
The cat knows whose lips she licks well enough. 犬はその主を知る
直訳すれば「猫は自分が誰の唇を舐めているのか、よく知っている」ということだが、これはラテン語の「猫は自分の舐めるひげだ誰のものか知っている」という表現に由来している。これを日本語に置き換えると「猫」が「犬」になってしまうのは、何とも残念だ。The cat knows and licks whom she likes. とも言う。
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■
Look what the cat's dragged in! これは珍しい人が来た!
予想もしていなかった人がやって来たのを見て、「あらまあ、誰かと思ったら」という意味で使われる表現。直訳すれば、「猫が運んで来たものを見てごらん」ということで、確かに猫は思い掛けないものを、引きずって持って来るものだ。
さんざん弄んで、見るも無惨な姿になった獲物を持ち帰ることもある。そこで、おどけて、「(やって来た人が)何とまあ、むさ苦しい」というような時にも使われるようだ。
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■
Who's she? The cat's mother? 「女の人って誰のこと?ちゃんと名前を言いなさい」
古風な表現だが、子供が名前を言わずにshe「女の人」で話しを済ませようとした時に使われる。「女の人って、猫のお母さんなの?」とは、実にユーモラスで温かみのある言い回しだ。
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■
The cat did it. それは猫の仕業だ。
何か失敗をして、その証人がいないときの言い種。猫のせいにして済ませようという訳だ。濡れ衣を着せられる猫の身にもなってほしい。19世紀後期から見られる。
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■
enough to make a cat speak とても素晴らしい
「猫に物を言わせるほど素敵な」の意。特に良い酒を賞賛する時に用いられる。18世紀前期から見られる表現。
Neco家の宮沢さんなど、実におしゃべりで、人間語も話しそうな勢いなんだけどなあ。宮沢さんは、いつも「素晴らしい、素晴らしい」と言っているのかしらん。
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■enough
to make a cat laugh とても滑稽な
「猫が笑うほど可笑しい、滑稽な」の意。
『不思議の国のアリス』に登場するチェシア・キャットは、始終ニタニタ笑っているけど…。
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■not
room enough to swing a cat (場所が)狭苦しい
「猫を振り回すことができないほど狭苦しい」という意味だが、猫の足を持って振り回すというのだろうか?何と乱暴な、とお怒りの声が聞こえてきそうだが、この
cat は、どうやら cat-oユ-nine-tails(コブのついた9本の縄をつけた鞭)のことのようだ。この鞭は1881年まで英軍公認の処罰道具の一つだったとか。
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■like
a cat on hot bricks そわそわして、びくびくして
どこにでも気持ちよさそうにゴロリと横になる猫も、太陽の熱で熱々になったレンガの上では、足すら満足に着けることができない。そんな猫のように、「落ち着かずに、そわそわ、びくびくして」というのがこの慣用句の意味。like a cat on a hot tin roof (熱いブリキの屋根に乗った猫のように)も同義。
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■run
around like a scalded cat やみくもに突進する
私たちは火傷をしたら、まず冷水で冷やそうと水道の蛇口に向かって走るが、猫が火傷したら、確かに当てもなく、ものすごい勢いで走り回る。neco家のテッちゃんも昔の石油ストーブの上に乗ってしまった時は、そうだった。「やみくもに突進する、むやみに走り回る」様子を形容するのが、火傷をした猫とは、実に面白い。
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■land
like a cat うまくいく、困難を切り抜ける
猫は高いところから飛び下りてもふわりと見事な着地をする。猫のように着地する、すなわち、「けがをせずに済む、うまくいく、幸運である、困難を切り抜ける」というのがこの表現の意味。私たちも、常に猫のように着地したいものだが…
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■a
cat in the meal 隠しごと
猫がネズミを捕まえようとして、食べ物の間に身を隠していた、というイソップ物語から生まれた句。ひそかに準備して隠しておいた危険、隠し事のこと。
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■play
(a game of) cat and mouse with... 人をもてあそぶ
人をなぶる、もてあそぶ、長時間かけてやっつける、という意味。猫は、捕まえたネズミをすぐに食べるのではなく、さんざんもてあそぶことから生まれた表現。play a cat-and-mouse game とも言う。
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■turn
the cat in the pan 寝返る
私利私欲のために変節する、寝返る、という意味。
鍋の中の猫をひっくり返すとは…
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■wait
for the cat to jump 日和見する
find out which way the
cat has jumped, see which way[how]the cat jumps
とも言う。猫がどちらに飛び跳ねるか見守り、それから自分の態度を決める、すなわち日和見する、形勢を見守る、という意味。
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■cat's
cradle あやとり
糸取り遊びの最初の形が cratch(かいば桶)、最後の形が cradle(ゆりかご)だったことから、糸取り遊びを cratch-cradle
と言っていた。そのcratch-crade がなまって cat's cradle となったらしい。
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■cat's
sleep たぬき寝入り
ネズミを捕まえようとする猫が寝た振りをすることから、猫寝=たぬき寝入りとなったようだ。
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■live
under the cat's foot 女房の尻に敷かれる
cat→女性の連想から生まれた慣用句だろう。
体の大きな旦那様を前足の下に敷き、背筋を伸ばしてすまし顔で座っている猫…実にしっくりするのだが。世の男性も、どうせ敷かれるなら尻の下より猫の足の下の方がいいのでは?
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■be
made a cat's paw of 人の手先に使われる
他人の道具にされる、という意味。猿が焼き栗を火の中から取り出すときに、自分の手は使わずに、猫の足(cat's
paw)を利用した という寓話から生まれた表現だ。
我々愛猫家としては、歯ぎしりしてしまうような句だが…
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■the
cat's whiskers とても素敵なこと、もの
とびきり上等な人のことも、こう言う。whiskers(ひげ)の代わりに、pajamas(パジャマ)、meow(猫の鳴き声)と言っても同義。
確かに猫のひげは立派だし、猫が甘えるときの鳴き声は心をとかす。でも、猫のパジャマって何だろう?いずれにしても、とびきり上等なことの例えに、我らが猫が登場するのは嬉しい。
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