『ネコ』の古名は『ネコマ』だったようだ。平安中期の辞書である『和名類聚抄』に『禰古万』とある。『ネコマ』の『マ』が落ちて『ネコ』となったと考えられているが、その『ネコマ』、『ネコ』にもいろいろな字や意味が当てられ、さまざまな語源説が生まれている。
1.『ネ』+『コ』+『マ』
1)「寝」+「子」+「マ」(「マ」は助語)
2)「寝」+「子」+「獣」
3)「鼠」+「子」+「待」
4)「ネ」+「猪」+「マ」(「ネ」は「ネウネウ」という鳴き声から)
5)「似」+「虎」+「マ」
6)「寝」+「毛」+「物」
2.『ネ』+『コマ』
1)「寝」+「高麗」(猫は仏教の渡来の際、貴重な仏典を鼠から守るために 教典と一緒に唐から連れてこられたという説があり、 むかしは「ネコ」を「唐ネコ」、「高麗ネコ」とも呼 んでいた)
2)「寝」+「好む」
3)「鼠」+「好む」
4)「寝」+「コマ」(「コマ」は「ネコ」の古名「クマ」が転じたもの)
5)「鼠」+「コマ」(「コマ」は「神」が転じたもの)
6)「鼠」+「軽(カロ)」(鼠に出会うと軽々と働くことから)
7)「ネ」+「コマ」(「ネ」は「ネウネウ」という鳴き声、「コマ」は「ケ モノ」の意)
長年共に暮らしても新たな発見の楽しみを常に残してくれている我らが神秘の友、猫たちは、その名の語源もベールに包まれたままだ。
【参考文献】
『日本国語大辞典』
2001年10月20日 第2版発行
編集:日本国語大辞典第二版編集委員会、小学館国語辞典編集部
発行所:株式会社小学館
『暮らしのことば 語源辞典』
1998年5月25日 第一刷発行
編者:山口 佳紀
発行所:株式会社講談社
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