とあるペットショップの現状


2005年9月22日


本日、私に一通のメールが届きました。練馬区にあるペットショップに関する、目を覆うばかりの現状とそれに対する警察、行政、動物愛護団体の対応についてのレポートでした。動物保護市民団体『SASA Japan』より送られてきたものです。
ペットブームを迎えて久しい日本ですが、動物に対する認識がまだまだ貧しいことは、私たちが日々感じていることだと思います。殺処分となる動物の数は、悲しいかな減ることなく、ペットショップやブリーダーの中にも、放置できない現状があることも、聞こえてきていました。それでも、私は、そんな現実と面と向うことができずにいました。
でも、この一通のメールは、見ざる聞かざるを続けようとしていた私の目を無理矢理にでも開かせ、即行動せよ、と尻を叩くものでした。
以下はそのメールの全文です。ぜひ、ご一読ください。

疥癬病で毛が殆どなくなった犬。
皮膚が炎症をおこし、体中が傷だらけ、血まみれ、膿でベタベタしている犬。
この犬達は、体を動かすことができない程狭く、錆びているケージに閉じ込められています。
食べ物も水さえも与えられず、掃除もしてもらえず、犬達は怪我だらけの皮膚と骨の姿になっています。
空気が殆ど入らない狭いガラスケース。その上糞まみれで中は見えません。
しかし、その中にはたくさんの飢えている鳥達が入れられています。動けない状態で、羽がほとんどない鳥もいます。

足の骨が丸見えのウサギ達、腐っているジャガイモの上にただ座っているモルモット達、
甲羅にひびが入っているカメ達、骨を折ったたくさんの小動物たちノ。
飢え、痛みで体を動かせず、傷ついているたくさんの命は、狭く、不潔で、暗い場所で、あるいは暑い夏の太陽の下で死を待つだけです。
叫び声を出すこともできず、ただ死を待つだけです。
一体、今日、どれくらいの動物が死んだのでしょうか?
誰も分かりません。

この風景は昔の話ではなく、どこかの遠い所の話でもなく、2005年の8月の東京練馬区です。
先進国でありたい日本の首都の真ん中なのです。
役所や警察は、あの残酷な場所を知っているのに、動物達の痛み、苦しみながらの死のことを知っているのに、
何度も市民が通報しているのに、法律がないという理由から、たくさんの尊い命の死を見て見ぬ振りしています。
今もそこで、毎日、動物は苦しみ亡くなっています。
日本の動物法律は、弱い立場の動物達を全く守ることができていないという現実です。

  
3週間前、ある女性がこの悲惨なペットショップの動物達に同情して、3万円で6匹の病気の猫を買いました。
その後で、そのペットショップの写真などをインターネットで公開しました。
人々は、驚き、衝撃を受け、怒りを覚え、動物達を助けなければいけないという声が多くあがりました。
1週間後、何人かの市民はそのペットショップへ行き、オーナー(従業員?)と交渉して、8匹の犬と1匹の猫を渡してもらいました。
「持って行って良い」と言われたので、弱った動物達を保護しました。
全ての動物はひどい疥癬病にかかって、3匹の仔犬は命が危ない状態でした。
動物愛護相談センターに通報したのですが、「忙しいから、直ぐそこへは行けない」と言うコメントのみでした。
警察に通報したら、「事件じゃないから、ご自分で解決してください!」と言われました。
疥癬病は人間にも移りますので、保健所にも通報しました。
「動物愛護相談センターから通報がない限り動けない」と言う回答でした。

警察も役所側もまったく動く気がなさそうでしたので、メディアと連絡を取りました。
次の週、数十人の市民と二つのテレビ局とでペットショップを訪ねました。
再びオーナー(従業員?)と交渉すると、不思議なことに、「全ての動物を持って行って良い」と言われました。
場所や金銭的なこともあり、すぐに何百匹もの動物を連れて行くのは無理でしたので、とりあえず合わせて21匹の重病の動物を保護しました。
ペットショップ側には1匹ずつ、引き渡しの書類を書いてもらいました。
今日まで、合わせて34匹の病気の動物を保護し、治療しています。
残念ながら、水を与えられていなかった1匹のクサ亀が、あまりの衰弱で亡くなりましたが、他の動物は回復に向かっています。

このペットショップは、店舗として登録しているのは1階だけにも関わらず、2〜3階にも明らかに動物を置いています。
動物を保護した時、ペットショップの3階から鳥を放した人がいました。
どう考えても、野生動物を飼っていた恐れがあります。
なぜなら、保護した4匹のクサ亀も近くの池から取ったカメだと判りましたので。
また、保護をしている最中、捕まえたばかりのカメを連れてきた人が突然現れたりもしました。
そのペットショップではレース鳩も売られています。
レース鳩の足にはまだ本当のオーナーのリングが付いたままです。
レース鳩協会とは連絡を取りましたが、なぜか、日本の法律でレース鳩を捕まえるのは犯罪ではないようです。

ワシントン条約に違反する動物も保護しました。
法律的には明らかに犯罪なのに、動物愛護相談センターも警察も一向に動こうとしません。
テレビ局は既にこの状況を撮影しましたが、行政側がこの動物達を殺処分する危険性が非常に高いので、居場所を明らかにできません。
私達は動物を殺処分するために保護していませんから。

動物愛護相談センターの態度は非常に不可解です。
ある日に言ったことを次の日には否定しています。
ペットショップに行くのを非常に嫌がっているようで、私達と話すのも場合によって断ってきます。
担当者は明らかにいらっしゃるのにも関わらず、出張などと言われて、電話に出ることや私達と会うことを拒否しています。
また、何回も頼んだのに、警察へ連絡を取ってもらえません。

警察の態度はさらに不可解です。
私達が何百回以上もペットショップ側から脅迫電話されたことに対して、「当たり前でしょう」と言われました。
また、警察は、動物はペットショップの動物ではなく、別の人たちの動物だと電話してきました。
調べてみると、警察が言っていた飼い主はニセモノでした。
警察は、私達に、自然界から捕えた動物をショップに定期的に連れて来る人を飼い主として紹介したのです。
それだけではなく、私達は警察側に侮辱されたりもしました。
そのうえ、とんでもない時間帯に電話もされました。
警察はこの事件で動きたくないとはっきり伝えてきました。

ペットショップ側は私達に重病な動物達を渡しました。
多くの市民からの寄付のおかげで、私達は動物達をだいぶ元気になるまで自宅で看病することができました。
動物達は人間にも感染しやすい疥癬病にかかっていました。ペットショップには、ワシントン条約に違反する動物がいます。
自然界から捕まえられた動物もいます。
ペットショップ側は私達に数えきれないほど脅迫電話してきました。全て録音して残っています。
それにもかかわらず、警察も動物愛護相談センターも動こうとしません。
テレビ局、探偵や弁護士が十分な証拠を出しても全く動こうとしません。

  

日本には、動物を守る法律が殆どないということは知っているのですが、
少ない法律の違反の場合でも、警察など行政機関が動かなければ、法律の意味はありません。
現在もこのペットショップには、苦しみ、死んでいく動物達はまだまだいますし、
ペットショップ内では許可なしの繁殖が行われていますので、放って置くことはできません。
日本の行政が動かないため、法律不足の所為で日本のメディアの力を借りるしかないと判断しました。
今まで何度となく虐待され、あるいは放置された動物を保護しましたが、この練馬のペットショップのような、
命に対するひどい犯罪は初めて目の当たりにしました。
日本国内でこのスキャンダルの解決方法を見つけないと、欧米の動物団体やメディアに頼む道しかないと思います。
血まみれの弱っている動物達を、動物病院に運んだ日を死ぬまで忘れないと思います。

日本では数えられないほどの尊い命が苦しんだり、国によって殺処分されたり、ペットショップなどで殺されたりしています。
どうか、弱い立場の動物の事情が良くなるよう、ご協力を心からお願い申し上げます。

国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方で分かる。
(マハトマ・ガンジー)

田辺リューディア
SASA Japan代表
mailto:tanabe@sasajapan.org,
mailto:info@sasajapan.org
www.sasajapan.org
http://sic.or.tp

私ができることは、まず、この現状をより多くの方に発信すること、と考えメールを転載し、署名活動を始めました。ご署名いただけるようでしたら、この用紙(クリックして、プリントアウトしてください)にご署名の上、
〒107-0062東京都港区南青山1?3?6MBE125 SASAJapan
宛お送りください。用紙を埋められなくとも、みなさんお一人の署名が何より貴重です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私は、みなさまからいただいた使用済み切手やプリペイドカードを送っております日本動物福祉協会にも働きかけてまいります。
『SASA Japan』の活動については、HP(www.sasajapan.org) をご参照ください。


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