NPO 日本ペット公害防止協会 発足

2003年5月8日

GW中に『特定非営利活動法人 日本ペット公害防止協会』という団体から、エージェント募集というご案内をいただきました。賃貸物件でのペット飼育の問題が少なくないことから、不動産業を営むnecoの旦那様宛のご案内でした。

『ペット公害』という名称に過敏に反応してしまったnecoは、このNPO団体がどのような主旨でどのような活動をなさろうとしているのか、是非知りたいと思い、同協会宛にメールで問い合わせたところ、嬉しくも、会長様より、即座にお返事をいただくことができました。

動物と共存できる心豊かなコミュニティを作るためには、動物と暮らす者の責任と守るべきルールを徹底することはもとより、周囲の方々のご理解と温かい眼差しも欠くことができません。同協会が、動物と共存するコミュニティ作りに寄与していただけるよう、私達も必要な議論を尽くしたいと思います。

以下、会長様の御了解を得て、通信の内容を公開させていただきます。
皆様の疑問、御質問、御意見、お待ちしています。


差出人 : "横倉 初江" <yokokura@necozanmai.com>
件名 : 貴協会の趣旨と活動内容に関して

日本ペット公害防止協会 御中

この度、貴協会よりエージェント募集のご案内を頂戴いたしました。
ご案内書では、貴協会の活動内容がよく分かりませんでしたので、詳しくお知らせいただきたいと思い、お問合せさせていただきました。

多くの方々がペットと暮す昨今、多くの問題も生じているかと思いますが、その解決のための啓蒙活動も2つあると考えます。
飼い主側の啓蒙は何より大切ですが、同時に、動物たちと人間とが共存していく為に、飼い主以外の方々の理解を求める必要もあるかと思います。
貴協会の目指すゴールはいかなるものなのか、また、その実現の為の活動として、具体的にどのようなことをお考えか、ぜひお聞かせください。

よろしくお願い申し上げます。


横倉初江様

冠省
 早速の御照会ありがとうございます。御案内の送付は1週間から10日を要する、とエージェントから聞いておりましたので、大変驚きました。
貴サイトを拝見しました。私も17年間生活を共にした猫を18年前に亡くし、その後10年間は、ペットを飼う心の余裕を持つことができませんでした。
日本ペット公害防止協会は、過去に活動していたものが特定非営利活動法人として認証されたのではなく、ペット飼養の普及に伴って増加すると考えられる迷惑行為等の解決・改善と、事例研究・情報蓄積などによる、現実的な環境改善を目的として、この度結成されました。理事長には元三菱地所理事の小村俊一氏(6月理事会において就任予定)、監事には蓑島司公認会計士、常任顧問には元最高検察庁検事の田邊信好氏に就任していただいております。
 現在、トヨタ系列広告代理店の協力を得て、キャンペーンツール等の制作を進めており、書類以外にはお見せできるものがありませんが、私共協会のメッセージとして、最も簡明に書かれているリーフレット原稿をお送りして、これに代えさせていただきたく存じます。同原稿中にありますが、当協会は、嫌ペット・反ペットオーナー団体ではありません。因みに私は2匹の大型犬を飼っております。
 お送りした御案内がお手許に届いているということは、本日以降、相当数のお尋ねや確認のメール/ファクスを頂戴することが予想され、お返事に時間がかかるかもしれませんが、御了承いただきたく存じます。
 当協会の趣旨に御賛同いただければ、大変幸甚に存じます。宜しくお願い申し上げます。 早々

特定非営利活動法人
日本ペット公害防止協会
会長 石 川 不 二 雄

P.S.以下、現在制作中のリーフレット内容の一部です。

《糞の放置や夜間の鳴き声などペット飼養者の迷惑行為で困っていませんか?

JPMCが解決・改善へのお手伝いをします。

* *******************

日本ペット公害防止協会《JPMC》は、ペット飼養による第三者への迷惑行為について、飼養者への改善申し入れや告発などを、被害者に代わって行う非営利活動法人(NPO)です。

■ひとりひとりの声が集まって、チカラになります。

多くの自治体が「動物の保護と管理に関する条例」を定めています。しかし、このような法規は、公園や目抜き通りなど公共性の高い場所・地域は別として、住宅地や商店街の犬の糞害・門扉への放尿などの改善にはあまり効果がありません。このようなペット迷惑行為は不定期・個別に発生するため、被害者の声を結集したり、特定個人に改善の申し入れを行うことが困難なのです。JPMCは、ひとりひとりでは個別事案になってしまう「小さな大迷惑」を、多くの声と力を結集して、清潔で社会性豊かな環境づくりを進めます。

■嫌ペット・反ペットオーナー団体ではありません。

JPMCは、犬・猫などの飼養を否定したり、マナーを守るペットオーナーに対立する機関ではありません。ペットを愛し、ペットの生活や命を大切にすることの意義を理解しています。会員にはペットオーナーも多くおられます。マナーを守らないペット飼養者の迷惑行為は、ペットを飼っておられない方々だけでなく、ペットを本当に自分の家族として愛しているオーナーにとっても、大変腹立たしく、迷惑なことなの
です。

■ 苦情申し入れや告発よりも、正しい知識・情報提供を優先。

ペット飼養による迷惑行為は、ひとえにオーナーの認識不足が原因です。「道徳観念・社会的レベルが低い」とか「人格の問題」という人もいますが、やはりペットとの生活や、迷惑を蒙る側の負担に想像が至らないといった、知識・認識不足に負うところが大きいのです。意図的に特定の第三者に迷惑をかけるつもりなら、これはもう犯罪であり、社会的制裁が必要です。しかし、多くのケースはペットのしつけや、便の正しい処理方法を知ってもらうことで解決・改善できるはずです。JPMCは、ペット迷惑行為者への申し入れを苦情一辺倒にはしません。可能な限り「良い飼い方をしてもらう」努力を優先します。

JPMCがお役に立てること。

(1) 糞の放置。公道・私道にかかわらず、対象とします。

(2) 同じ箇所や門扉などへの度重なる排尿。

(3) 野良猫・犬などへの餌を第三者居住地内又は周辺で与える行為。

(4) 夜間の犬・猫の鳴き声の放擲。

(5) ペット飼養によって生じる悪臭の放置。

(6) 危険なペットの飼養方法に関連する苦情など。

(7) その他、近隣・周辺居住者が負担を強いられる蓋然性のある、又は平穏な生活を害される恐れのあるペット飼養。

これらの迷惑行為において、責任が明白なペットオーナーに対し、以下の実務を、被害者に代わって行います。費用の有無・見積り等については、個別事案毎にお答え致します。

1.ペット飼養者に対する、当協会名による迷惑行為改善の申し入れ。

2.当該飼養者に対する、改善のための情報提供・適正な飼養方法の指導など。

3.告知板の設置・監視撮影装置のレンタル・外構工事等に関する情報提供。

4.過度の被害を蒙っておられる方の意志に基づく告発・自治体への申し入れ、法律家・法務従事者に関する情報提供・紹介など。

5.その他、当協会が適法に支援できる範囲のペット迷惑阻止・防止活動。

(JPMCでは)御相談に応じられないケース。

1. 公園・公有地など、公共性の高い場所・地域におけるペット飼養者による迷惑行為。

2,生け垣や非舗装箇所、電柱などへの非恒常的放尿など、客観的に見て過度とはいえないレベルの、通常ペット飼養による行為。

3.他の個人・法人・団体などが、既に何らかの抗議行動を行っている迷惑行為。

4.公的機関に対して既に告発・訴訟等が行われている事案。

5.虚偽又は事実誤認に基づく相談・申込み・告発など。

6.その他、当協会の趣旨に不適合な、又は同活動範囲を超える業務》 以上


差出人 : "横倉 初江" <yokokura@necozanmai.com>
件名 : Re: 貴協会の趣旨と活動内容に関して

特定非営利活動法人
日本ペット公害防止協会
会長 石 川 不 二 雄 様

早速のご回答をありがとうございました。
私も多くの猫たちと暮しながら、ご近所へのご迷惑に思いを巡らせております。
嫌猫家の掲示板を訪問しますと、その過激さには驚かされるばかりですが、そのお気持ち、ご意見には客観的にかつ真摯に耳を傾けるよう、心掛けております。

私のサイトをご訪問いただき、お気付きかと思いますが、『大募集』のコーナーで『猫の侵入を防ぐアイディア』を取り上げ、ガーデニングの専門家を含め、多くの方々からの智恵をまとめております。
家庭内で動物と暮す場合はもとより、人間の身勝手の産物である野良猫に対して、何ができるかを前向きに考えていきたいと思うからです。『区報』などに、『野良猫に餌をやらないように』などという記事がでる度に、なぜこのような後ろ向きの発言になるのか、残念に思うばかりです。

猫の侵入を防ぐには、どうしても『猫の侵入お断り』というご家庭にお願いしなければならないことも多く、猫避けマットなど、経済的な負担をお掛けすることにつながるのは、心苦しいと常々思っております。ですから、なんらかの原資を作り、そのようなご家庭の経済的な負担を軽くできるようなシステムが作れないかと思案しておりました。貴協会が、そのような役割を担っていただけるのなら、できる限りのご協力をさせていただきたいと考えております。

ペット『公害』は、人間が引き起こすものであり、決して動物自身の責に帰するものではありません。
『公害』と銘打つことによって、動物の存在そのものが『公害』であるかのような認識を助長させるのではないかと一抹の不安を覚えるのですが、いかがでしょうか。
動物と生活を共にする者が責任をもってルールを守り、周囲の方々も動物に対して常識の範囲内で鷹揚な気持ちを持っていただいてこそ、動物と共存する心豊かな社会が生まれるのだと思います。

貴協会が、動物をコミュニティの一員として迎えられるよう、飼い主の啓蒙はもとより、周囲の方々の理解促進にも目を向けられ、心豊かな社会作りに貢献されますことを、心より祈念しております。


差出人 : Fujio Ishikawa <fujio@group-odyssey.com>
件名 : Re: 貴協会の趣旨と活動内容に関して

横倉様
御丁寧なメールをありがとうございます。
このような名称で発足することに絶対的概念があるわけではありませんし、今後どのような事例や問題に直面するのかも、まだ予測できるような段階ではありません。しかし、いずれにせよ、嫌ペット・反オーナー団体ではないという点は明らかにしておきませんと、御指摘のような「公害イコール反動物」というとられ方をしかねないリスクが生じます。野良猫への餌やり問題についても、ヒューマニズムをもって対していかなければならない一方で、他人の敷地に猫が住み着くような餌付けを無断で行うことに対する居住者の人権保護も大切な問題です。このような問題については議論百出で、当協会設立に御賛同下さった法律家や識者間においても、これが正しいと決めつけることができる考え方というのはないと思います。当協会が目指すものは「人間と動物の好ましい共存」であり、その目的にかなう努力は惜しまない所存ですが、ペット迷惑における当協会の相手が人間であることは間違いありません。この点はぜひ御放念下さい。発足当初に、このようにお話しできる機会を得たことは、大変参考になりました。今後とも宜しくお願い申し上げます。

日本ペット公害防止協会/いしかわ


差出人 : "横倉 初江" <yokokura@necozanmai.com>
件名 : Re: 貴協会の趣旨と活動内容に関して

特定非営利活動法人
日本ペット公害防止協会
会長 石 川 不 二 雄様

たびたびのメール、申し訳ございません。
お願いが一つと質問が一つございます。

まずは、お願いから。
今回の一連の石川会長と私の間の通信を私のサイトで公開させていただいてもよろしいでしょうか。
貴協会のリーフレットも、もちろん、紹介させていただきます。
私のサイトの訪問者も、コミュニティの中でいかに動物と共存していくかに心を砕いている方が多いと思いますので、ぜひお許しいただけたらと思います。

質問ですが、「JPMCがお役に立てること」の一つに、「夜間の犬・猫の鳴き声の放擲」という項目がございますが、これに関するクレームに対して、飼い主にどのように指導されるのでしょうか?

以上、よろしくお願い申し上げます。

横倉 初江
yokokura@necozanmai.com


差出人 : Fujio Ishikawa <fujio@group-odyssey.com>
件名 : Re: 貴協会の趣旨と活動内容に関して

横倉様

リーフレット内容はもとより、私が意見として申し上げることには、自らが責任をとらなければならないと認識しておりますので、私が記名した内容については公開していただいて構いません。但し、今後、私や当協会への御指摘や、私に対するいろいろな御意見・御要望すべてにお返事をすることは不可能であろうかと予想しますので、欠礼の蓋然性については呉々も御容赦下さい。

夜間の犬・猫の鳴き声については、様々なケースと、提案の可能性があると思います。
赤ちゃんの泣き声というのとは異なり、やはり問題が「しかたがない」と片づけてしまうオーナーにあることは議論の余地がありません。消音対策から去勢等に関する正しい情報提供といったものまで、当該オーナーが納得する解決方法を模索するしかないことは、私共協会とて同じことです。階下や隣家の方がどのような困り方をしておられるか、ということが重要なのであり、オーナーに解決義務があることも、これまた議論の余地がありません。特に解決事例のデータ蓄積が現在あるわけでもありませんので、これからの課題であることも間違いないところです。いまの段階では、確たる対策を明示できませんが、皆様の御協力をいただいて参りたいと考えております。

日本ペット公害防止協会/いしかわ