ドキュメンタリー映画『犬と猫と人間と』
2009年1月12日
昨日、1月11日、ワンワンワンの日に、ドキュメンタリー映画『犬と猫と人間と』の完成試写会が開かれた。私は、18年の長きに亘り多摩川に捨てられた猫たちをご夫妻で世話しておられる小西修さんの招待で観る機会を得た。小西ご夫妻は、この映画の登場人物でもある。 後を絶たない飼い猫、飼い犬の遺棄、家を失った動物たちを巡る諸問題……小西さんとお目にかかる度に、あれこれ話し合っては、猫に関心を寄せる人を超えて、広く一般に訴えかけていかなければ、といつも同じ結びで話は終わった。 立川の書店で、小西さんの写真展が開催された折、映画のクルーが小西さんを訪ねていた。多摩川の猫たちが映画に取り上げられるらしい。願ってもない吉報に、ようやく……、いよいよ……、と一筋の希望を見た。だが、以来、映画の話の情報は入ってこない。頓挫してしまったのか、と思っていたところに、小西さんからの封書、完成試写会の招待状が届いた。 この映画は、一人のおばあさんの依頼によって生まれた。長年、家のない猫を保護して、世話をしてきた稲葉さんは、人生の結びに映画を作ろうと決意した。人の勝手な都合で、不条理な生き方を強いられた、もの言わぬ猫たちに代わって、広く、強く訴える映画を作って欲しい。稲葉さんが製作を依頼したのが、飯田基晴さん。今回の監督である。稲葉さんは、制作費を出し、内容については一切を稲葉さんに任せる。ただ、生きているうちに完成させて欲しい。その依頼に、動物に特段の関わりを持ってこなかった飯田さんは、「私でいいのですか」と尋ねる。「私は、人を見る目はあるんです。」短い、決然とした答えだった。 それから4年近くをかけて完成したのが、117分という長編ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』である。 犬と猫という「生き物」は、人間の都合で様々な立場に移り変わります。 手作りのチラシに書かれた飯田監督の言葉である。 私は、遺棄された動物たちの現実を受け止めることが出来ないのを承知していたから、これまで知ることを頑に避けてきた。 ごめんね、ゆるしてね、と心の中でつぶやき、涙を拭うこともあったが、「悲惨」「残酷」といった言葉は、不思議にも浮かんでこなかった。現場で日々命と向き合い、より良い明日を模索しながら、その日の現実の中で出来うる全てを尽くしておられる方々の一言一言に、感傷を超えて、自分にできることを必死で探そうとしている自分に気付く。 稲葉さんの映画は完成した。だが、稲葉さんの思いの成就には、これがスタートだ。一人でも多くの人に観て、感じて、考えてもらうためにはどうしたらいいのか、これからが一層重要になる。 『犬と猫と人間と』 完成記念上映会 2009年2月22日(日)にゃんにゃんにゃんの日 ご予約、お問い合わせは、映像グループ ローポジション |