小西 修 写真展

多摩川の猫

2007年5月12日

小西 修 写真展
多摩川の猫 --河川敷に生きる面貌--

一年365日、休むこと無く多摩川の河川敷に打ち捨てられた猫達の世話をする人がいる。
写真家、小西 修氏ご夫妻だ。奥様は5つのスポットを担当。小西氏の担当範囲は、もっともっと広い。何しろ多摩川河川敷は広大なのだ。一ヶ月に消費する猫缶は800缶、ドライフードが30キロ。もちろん、すべて自前だ。自転車で駆け回る奥様は、近頃腰痛に悩まされているという。それでも、毎日、猫たちが待っている。休むことはできない。

夫妻が世話をする猫たちは大勢だが、彼らは、常に一対一で猫たちと付き合っている。体の状態や好みに合わせて、食事も選んで与える。各種の薬も必需品だ。河川敷で暮らすホームレスの人達ともコミュニケーションを取り、病んだ猫に代わって一晩の屋根を頼み込む。

そんな小西夫妻の目の前で、猫を捨てに来る人が後を絶たないという。氏は、それを看過したりしない。話し、諭すこと、一時間、二時間……捨てられるはずの猫は、飼い主と一緒に家に戻る。

やれやれと思う間もなく、リードをつけずに犬を散歩させる人がやって来る。そればかりか、犬をけしかけて、猫を追わせる。いつだったか、全盲の猫が、そんな心ない人間の犠牲になった。目は見えなくとも、必死に逞しく生きてきたのに、ある夜、犬に追われるまま、多摩川に落ちた。水の音と、悲痛な最後の叫びをホームレスの人の耳に残して……。

多摩川の猫たちと向き合うということは、胸を掻きむしるような思いの連続だ。それが辛いと、人は目を背ける。だが、もう一度勇気を持って振り返ろう。振り返ったときに、救われる命と心がたくさんあるのだから。そこで見つける小さな喜びは、生涯忘れ得ないほどの輝きを放つのだろう。

小西氏は、多摩川の猫たちの生き様を写真に映し続けている。いずれも氏と心を通い合わせた猫たちだ。いきずりの猫たちは撮れないのだと、氏は語る。

この写真展は、小西氏による、猫たちのための写真展である。

より多くの方に、人間の身勝手さを踏み越えて生きて行く猫たちの姿を見ていただきたいと思います。
日頃無関心でいる方々の手を引いて、ぜひお出かけください。

6月30日からと、まだ先ですが、今、カレンダーに予定を書き込んでいただければ幸いです。

2007年6月30日(土)〜7月16日(月) 10:00〜20:00
立川駅北口徒歩3分 オリオン書房ノルテ店 ラウンジギャラリー
東京都立川市曙町2-42-1 パークアベニュー3F
TEL 042-522-1231

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