* スプレーとは
スプレーは、最も一般的な猫の問題行動です。
スプレーはマーキング行動であり、トイレ以外の所に排尿する、いわゆる粗相とは全く異なります。
家具や壁、窓、ブラインドといった垂直に立つものにお尻を向け、腰を高く上げ、尻尾を立てて小刻みに振るわせながら、シュシュッと尿を掛ける、これがスプレーです。
スプレーは、雄猫に多発しますが、去勢した雄猫や雌猫にも見られます。
*なぜ猫はスプレーをするのか
猫は、さまざまな方法でコミュニケーションをとります。物を引っ掻いたり、頬や唇を擦り付けるのもコミュニケーションなら、スプレーもまたコミュニケーションの手段なのです。いずれもフェロモンを残す行動で、フェロモンの組み合わせにより、指紋のように個体を特定することができます。
先にスプレーは『問題行動』と記しましたが、人間にとって問題ではあっても、猫にとっては異常な行動ではありません。
スプレーの原因はさまざまです。
1)発情期の求愛として
スプレーは発情期に多発します。発情期の猫は、尿の臭いに惹かれます。スプレーは、求愛のマークとも言えます。
2)縄張りの主張として
猫は、縄張り意識の強い動物です。スプレーによって、他の猫に対し、そのエリアの所有権を強く主張し、境界を明示しようとするのです。
3)ストレスの結果として
新しい家に引っ越した、家族に新メンバー(人であろうと動物であろうと)が加わった、他所の猫が敷地内にやって来る、同居の猫に脅かされている、日常のルーティーンが変わった、などは猫にとって大きなストレスになります。そのストレスが原因で、一度もスプレーをしたことのなかった猫でもスプレーを始めるケースがあります。
*スプレーを防ぐには
スプレーの防止法を考える場合、スプレーのそもそもの原因を見いだすことが大切です。
スプレーの臭いは、耐え難いでしょうが、決して怒鳴ったり、物を投げたり、鼻をスプレーの箇所に押さえつけたりなど、罰することはしないでください。こうした行為は、猫を怯えさせ、ストレスレベルを高め、さらにスプレーを頻発させることになります。
1)去勢・避妊をする
去勢・避妊は、スプレーに大きな効果を発揮します。年中スプレーを繰り返していた雄猫も、大方の場合、去勢した途端に、ぴたりとスプレーが止みます。
2)他所の猫を視界からはずす
スプレーが他所の猫の侵入に対する反応であるなら、猫を窓際に近寄らせないか、他所の猫が敷地に入らないような対策を講じます。
3)ストレスを軽減する
スプレーの原因がストレスであるなら、考えうるストレスをできる限り取り除く必要があります。その猫とより長い時間過ごし、一緒に遊んであげましょう。
4)食べ物や飲み水をスプレーの箇所に置く
いつも決まった場所にスプレーをするようであれば、食べ物や飲み水をその場所に置きます。猫は、きれい好きな動物ですから、食べ物の近くでスプレーをすることは避けようとします。
5)同居の猫との関係を改善する
同居の他の猫との折り合いが悪いことがスプレーの原因であるなら、その関係改善が必要です。折り合いの悪い同士を一緒に遊ばせる、一緒に食事させるなどして、穏やかな調和のとれた関係を作るようにます。
6)同居の猫と生活空間を分ける
関係の改善が図れない場合は、生活空間をできる限り分けるようにします。
7)スプレーの箇所に薬剤をかける
スプレーの箇所を徹底的に掃除をし、そこに市販のスプレー防止用の薬剤をかけます。この薬剤は、猫がリラックスし穏やかな気持ちでいる時のフェロモンを合成したものです。
8)獣医師に相談する
それでも改善されない場合は、獣医師に相談しましょう。スプレー防止に有効とされる精神安定剤や抗鬱剤も市販されていますが、副作用や他の薬剤との禁忌に触れる場合もありますので、必ず獣医師に相談してください。
*スプレー臭を消すには
あの強烈な臭いは、いかに猫好きとは云え、耐え難いものです。
臭いの除去には、酵素入りの洗剤が有効です。洗濯洗剤に、酵素入りのものが市販されていますので、試してみてください。
アンモニア・ベースの洗剤は決して使ってはいけません。他の猫がそこにスプレーをしたと勘違いをし、かえってスプレーを誘発することになりかねません。
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