*ノミを侮るなかれ ノミというと、縁側の日溜まりで猫を膝にのせ、のんびりノミ取りをする、というのどかな光景が思い出されます。でもそれも昔のこと、今はそもそも縁側が家から消えてしまいましたし、ノミ取りの方法も進化してきました。 さて、ノミは噛まれれば痒くなるものの、さして大事とは考えられていないのではないでしょうか。neco家でも、そうでした。獣医さんに伺う度にノミ取り薬を購入するものの、neco家の猫の数からすると、その金額は大変なものになり、指導された通り毎月一回滴下するのを怠りがちでした。ノミは温血動物の血を吸って生きるのですから、人間もノミに噛まれます。痒くはなるものの、しばらく掻かないように我慢していれば、忘れてしまいますよね。そんな自身の経験を猫にも当てはめていたのです。それがそもそもの間違いでした。猫にとってのノミの害は、人間と比較にならないほど大きかったのです。 それを教えてくれたのがマロンでした。ある時、マロンが痒そうに後足で体を掻き、口でそこここを噛んでは舐めるという仕種が目立つようになりました。ノミでもいるのかしら、とブラッシングをし、それでもダメだとお風呂に入れてノミ取りシャンプーで丁寧に洗ったりしていました。しばらくすると、尻尾の付け根辺りに湿疹が見られるようになりました。毛も抜け、ぶつぶつ亜状になった患部はだんだんと大きくなります。neco家には、以前獣医さんからいただいた薬の残りがたくさんあります。病名を記して整理してある薬の中から、湿疹用の薬を取り出し、マロンにつけてみましたが、まったく効果が見られませんでした。(素人判断で、医薬品を猫に与えること自体、危険極まりないと反省しています。)ようやく獣医さんに診ていただくことにしました。診察はあっけなく終り、いただいたのは薬ではなく、ノミ取り滴下剤でした。湿疹の原因は、なんとノミだと診断されたのです。半信半疑で、ノミ取り剤を滴下すると、マロンの湿疹は目を疑うほどに消えてなくなりました。私の無知と怠慢のせいで、いたずらに長い時間、マロンに痒い思いをさせてしまいました。 猫がノミに噛まれると、噛まれた部位に皮膚病が出ます。その症状は、軽い痒みや発赤程度のものから、マロンのようにぶつぶつとした亜粒性皮膚炎までと様々です。こうした皮膚病は尻尾の付け根や首の回りに出やすいようです。また、アレルギーを引き起こす場合もあります。これはノミの唾液に対する全身反応で、ぶつぶつが背中に出ることが多いようです。唇に潰瘍を起こしそげてしまう病気や、頚の皮膚が広範囲に脱毛して湿疹のようになるなどの症状も、アレルギーに関係しているようです。アレルギーはノミの唾液に対するものですから、例え一匹いてもアレルギーは起こります。 ノミは決して侮れないのです。 *ノミの生態 ノミの成虫は、ノミ全体の5%にすぎません。残り95%は卵、幼虫、さなぎの形で存在しているのです。また、ノミはずっと猫の体で生活しているわけではなく、一日の80%は猫から離れたところで過ごし、猫の体につくのは、血を吸う時だけなのです。猫の体にノミを一匹見つけたら、回りに100倍いる、と言われるのもこのためです。 メスのノミは、猫の毛の中に卵を産みますが、その数は6〜8週間の間、毎日20〜50個、一生に数百〜2000個となります。毛の中に産みつけられた卵は床に落ち生育するのですが、卵が落ちやすいところは、猫のベッドの下や、猫が高所から着地するところなど、猫の体から振り落とされやすい場所となります。生育に適した場所は、直射日光が当たらず人通りの少ない静かな所で、餌となる成虫の糞が落ちている場所ということですから、卵の落ちた場所は、そのまま生育に適した環境となってしまいます。温度24〜32℃、湿度60〜80%という生育最適条件も、日本の家庭は難無くクリアーしてしまいます。ノミにとって高温多湿な日本は天国かもしれません。卵は2〜20日で幼虫になります。幼虫は10〜200日の間に3回脱皮を繰り返してさなぎになり、さらに一週間ほどで成虫になります。このように生育期間に大きな幅があるのは、環境によるもので、一年もさなぎのままでいる場合もあるようです。 ノミは、動物の体について血管を正確に狙って吸血しますが、これは動物の排出する二酸化炭素に反応するからです。 ノミの生態を見ると明らかなように、猫の体から一匹残らずノミを取り除いたとしても、同時に猫を取り巻く環境、すなわち家の中も徹底駆除をしない限り、ノミ対策は無意味になってしまうのです。 *猫の体のノミ退治 【ノミ取りシャンプー】 【ノミ取りパウダー、スプレー、ムース】 【ノミ取り滴下剤】 【ノミ取り内服薬】 *環境内のノミ退治 ノミのいない環境を作り、猫、人間ともども気持ちよく暮らしていきましょう。 【参考サイト】 |