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日本におけるキャット・フードの位置付け
ペットフード工業会とペットフード公正取引協議会

キャット・フードはその手軽さ、猫用に特別に作られているはずという安心感から、今や猫の食餌の中心となっています。
ペットフード全体でみると、市場規模は1995年には2000億円を超え、1999年をピークに2300〜2400億円前後で推移しています。国産、輸入品の比較では、1995年を境に輸入品の流通量が国産品を上回り、そのウェイトが年々高くなる傾向にあります。キャット・フードに限ってみると、その年間流通量は25万トンを超え、ペット・フード全体の33%前後となっています。こうした推移を背景に、多種多様な企業がこの市場に参入してきているのが現状です。

ところで、『キャット・フード』の定義とは、何でしょう?残念ながら、公的な定義はありません。人間の缶詰に『キャット・フード』というラベルを貼れば、それだけで『キャット・フード』の出来上がりです。公的な定義がない、ということは、公的な基準や法規が設けられていないということでもあります。厚生労働省などが人間の食品に対して定めているような、公的な安全基準がないのです。キャット・フードに関連する現存の法規は以下の10です。
 * 関税定率法
 * と畜場法
 * 化製場等に関する法律
 * 食鳥処理事業の規則及び食鳥検査に関する法律
 * 家畜伝染病予防法
 * 飼料安全法
 * 食品衛生法
 * 計量法
 * PL法
 * 容器包装リサイクル法
上記の内、一番関係のありそうな法規は「飼料安全法」と「食品衛生法」の二つですが、「飼料安全法」では犬や猫などのペットは対象外とされており、この法律で定める飼料添加物の一部がペット・フードとして利用される、という程度にとどまります。また、ペット・フードは食品ではないことから「食品衛生法」の対象にもならず、ペット・フードに添加される可能性のある食品添加物のみがこの法律によって定められることになります。
その他の法規は、畜肉原料の安全や処理方法、製造者責任や包装などの点で関わりを持つものの、私たちが一番知りたい、出来上がったキャット・フード自体の安全性や品質を保証するものではありません。

こうした公的な基準、規制、法規、保証の欠如を補おうと、現在、ペットフードを製造または販売する企業、その活動に賛同する企業、団体が『ペットフード工業会』『ペットフード公正取引協議会』を作り、各種の自主規制を行っています。

【ペットフード工業会】
設 立:1969年10月
会 長:高原 利雄
会員数:43社
(正会員26社、準会員3社、賛助会員14社 2003年8月現在)マ会員一覧
事務局所在地 〒104-0028 東京都中央区八重洲2-6-10 豊屋ビル4階
       TEL03-3281-0155 FAX03-3281-0156
本会の目的と事業(以下「ペットフード工業会規約」より抜粋)
(目 的)
第1条 ペット飼育者の信頼に応え得るペットフードを提供するために、ペットフードの安全性・品質の向上及び啓発を行うと共に、ペットの飼育を通じて得られる心のゆとりと情緒の健全化に資することにより社会に貢献することを目的とする。
(事 業)
第2条 本会は前条の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1)ペットフードの安全性・品質向上及び啓発
(2)ペットの正しい飼育方法と飼育拡大に関する啓蒙
(3)ペット及びペットフードに関する情報発信
(4)斯業の生産性向上への情報提供
(5)他団体、官公庁との協調、組織の強化
(6)その他本会の目的達成に必要な事項

【ペットフード公正取引協議会】
設 立:1974年10月
会 長:石山 恒
会員数:40社(2003年10月現在)マ会員一覧
事務局所在地:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-12-19
       東建インターナショナルビル11階
       TEL03-3486-7017 FAX03-3486-7112

本会の目的と事業(以下「ペットフード公正取引協議会の組織及び運営に関する規則」より抜粋)
(目的)
第2条 本会は「ペットフードの表示に関する公正競争規約」(以下「表示規約」という。)及び「ペットフード業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」(以下「景品規約」といい、「表示規約」と「景品規約」を併せて単に「規約」という。)を円滑にかつ適正に運営することを目的とする。
(事業)
第4条 本会は、第2条の目的を達するため、表示規約第11条(neco註:第10条の誤りと思われる)及び景品規約第4条に掲げる事業を行う。

「表示規約」第10条、「景品規約」第4条
(公正取引協議会の事業)
公正取引協議会は次の事業を行う。
(1) この規約の周知徹底に関すること
(2) この規約についての相談及び指導に関すること
(3) この規約の遵守状況の調査に関すること
(4) この規約の規定に違反する疑いがある事実の調査に関すること
(5) この規約の規定に違反する事業者に対する措置に関すること
(6) 一般消費者からの苦情処理に関すること
(7) 関係官公庁との連絡に関すること
(8) その他この規約の施行に関すること

『ペットフードの表示に関する公正競争規約』は一見、単に表示についての決まり事のように思えますが、例えば、『総合栄養食』という表示一つを取っても、その定義がきちんとなされていなければならず、その表示を裏付ける分析試験、給与試験の内容、評価基準が必要となってきます。現在、ペットフード公正取引協議会が採用している栄養基準は、AAFCO(全米飼料検査官協会)の分析試験による栄養基準(1997年版)と給与試験プロトコール(1998年版)です(AAFCOについては、改めて詳述する予定です)。日本には、AAFCOに相当する指標はありませんが、外来の物とは言え、公的に権威付けられた指標が採用されていることは、消費者にとっては一つの安心材料となります。つまり、表示を規定する表示規約が、その性質上、ペットフードの中身を吟味することになり、ペットの健康を気遣う私たち消費者にとって、大切な規約となっているのです。

もっとも、これら「規約」は参加企業・団体が自主的に定めたルールであり、罰則も罰金や除名、公正取引委員会への報告にとどまり、公になることはないようです。しかも、このルールが及ぶのは、会員たる企業や団体に対してのみで、非会員には何ら効力を持ちません。
自主団体、自主ルールには自ずと限界はあります。しかし、こうした組織や規約が、今、ここに存在するということは大きな意味を持っていような気がします。公的な機関に対し、公的な基準やルールの策定を求める一方で、現存する組織、規約を有効に活用することによって、その位置付けを押し上げていくことができるのではないでしょうか。

ペットフード公正取引協議会に参加する否かは、個々のペットフード製造業者が独自の視点で判断することです。参加していない企業が、粗悪品を作り出しているというわけではないでしょう。栄養基準として採用しているAAFCOの指標そのものに疑問を持っている場合があるかもしれません。しかしながら、現段階で、AAFCO基準に相応の信頼を寄せるなら、自主規制とは云え、それを遵守しようとしている参加企業の製品かどうかということは、キャット・フードを選ぶ一つのガイドラインになるのではないでしょうか。
ペットフード公正取引協議会は、消費者からの苦情の処理もその事業の一つに掲げています。キャット・フードに問題があった場合は、積極的に活用していくことが、より良いキャット・フードへの志向を強めるものと思います。
また、年1〜2回行われているという製品の抜き打ち検査の結果や、規約違反についての情報開示を求めていくことも、消費者にできる大切な運動かもしれません。

私たち消費者には、限界のある自主団体、自主ルールを、より価値あるものにしていく力があるように思うのです。

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【参考サイト】
ペットフード工業会 http://www.jppfma.org/index.html