『ドライフードvsウェットフード』は論議を呼ぶテーマです。それぞれに長短があり、一つの見解に集約するのは、無理なのかしれません。
キャットフードは、製品の水分含有量によりドライ、セミモイスト、ウェットに大別されますが、それぞれの特徴を見ていきましょう。
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ドライフード |
セミモイスト・フード |
ウェット・フード |
水分含有量 |
6〜10% |
25〜35% |
75%前後 |
主な原材料 |
穀類、骨粉、魚粉、肉粉、乳製品、動物性脂肪、ビタミン、ミネラル等 |
肉、肉副産物、大豆粉、穀類、保存剤、湿潤調整剤等 |
獣肉、魚肉、家禽肉等 |
開封前の品質保持期間の長さ |
2 |
3 |
1 |
開封後の品質保持期間の長さ |
1 |
2 |
3 |
嗜好性 |
3 |
2 |
1 |
カロリー経済性 |
1 |
2 |
3 |
経済性 |
1 |
2 |
3 |
猫が自然界で獲物とする小型げっ歯類や鳥などは、全体の70%が水分です。残り30%は、主にタンパク質で、これにある程度の脂肪と僅かな未消化の穀類(獲物の消化管に残存したもの)などが含まれます。したがって、もっとも自然に近い食餌は、70%前後の水分を含み、タンパク質の穀類に対する比率が高いもの、ということになります。
ドライフードには米粉、トウモロコシ粉、麦粉、大豆粉等の穀類が多量に含まれており、タンパク質/穀類の比率は低く、水分量は10%以下で、猫にとっての自然な食餌とはもっともかけ離れています。
ドライフードは、品質保持期間が長く、カロリー経済性も高く、飼い主にとって扱いやすいフードですが、ドライフード・オンリー、もしくはドライフード主体の食餌を与える場合は、猫が必要な水分をきちんと摂取しているかどうかが重要になります。水分が十分でないと、腎臓や膀胱の疾患に繋がる場合もあります。
歯の健康の為には、ドライフードの方が好ましいという説を耳にしたことがありますが、最近の研究では、必ずしも有為な差は認められないようです。
では、缶詰やレトルトパックに入ったウェットフードの方が優れているのでしょうか。確かに上記の自然に近い、という点ではウェットフードの方が勝っているでしょうし、嗜好性も高いようです。ただし、ウェットフードは製品ごとに栄養価のばらつきが大きいため、ラベルを慎重に比較して、良質のフードを選ぶよう心掛けなければなりません。
また、ウェットフードの開封後の品質保持期間は極めて短いので、食べ残しをそのままにしておく等、管理が不行届きにならないよう、十分注意することが大切です。猫だけが留守番をしている時間の長い家庭では、この点を考慮してフードを選ぶ必要があるでしょう。
さて、猫が何らかの疾患にかかった場合の処方食はドライフードが多いので、ドライフードにも馴染んでいた方が良い、という話を聞いたことがあります。フードに対する嗜好は、幼い頃に決まるので、ドライ、ウェット、いずれのフードも食べられるようにしておきたいものです。
【参考サイト】
http://www.catdoctors.com/html/care_diet.html
http://www.vet.cornell.edu/Public/FHC/feedcats.html
http://www.jppfma.org/tsuite/gairon1-3.html
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