この町:荻窪(東京都杉並区上荻)
February 2003  by neco

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わが町のご自慢猫スポットは、荻窪八幡さま。Neco家の氏神様でもある。
鳥居は青梅街道に面していながら、境内に入ると行き交う車の喧噪も届かぬ別世界が広がる。決して大きな神社ではないが、いつ行っても隅々まで見事に掃き清められており、静謐な空気が漂っている。

この神社は、今から1100年程前の寛平年間に、応神天皇を祭神として建立されたと伝えられている。1051年には源頼義が奥州の安倍貞任征伐の途中、ここに宿陣して戦勝を祈願し、凱旋の時(1062年)、神恩に感謝してこの神社を厚く祭ったという。また、1477年4月、江戸城主、太田道灌は、石神井城主、豊島泰経を攻めるにあたって、先の源氏の故事にならって、この神社に武運を祈願した。その際に植えた槙の樹一株が、今も「道灌槙」と呼ばれ、この神社の御神木として大切に保護されている。
本殿には、浅草寺に次いで都内で二番目に古い狛犬一対が保存されている。

と、この荻窪八幡は、なかなか由緒正しき神社なのだ。
神社を守る宮司さまが、その誇るべき歴史を大切に伝えているようで、気紛れに参拝するnecoでさえ、一歩足を踏み入れると背筋がピンと伸びるような気がする。背筋が伸びているのは、参詣する人ばかりではない。そこに居る猫たちもまた、実にしゃんとして、独特の気品を漂わせている。もちろん、神社に居着いたノラちゃんたちだ。

裏門から神社に入ると、さっそく2匹の猫が出迎えてくれた。黒トラ白の子は人一倍愛想がよく、参詣者一人一人に擦り寄り、「よく、お参りに来て下さいましたニャン」と挨拶してくれる。今年のお正月、遅い初詣でに行った時など、neco家一家の姿を社務所の屋根から見つけたらしく、ぱぱちゃんの目の前に突然空から降って来たように舞い降り、肩に乗ってゴロゴロと咽を鳴らし、離れなかった。困ったなと思っていると、新たな参詣者を発見したらしく、そそくさと立ち去り、今度はその夫妻の足元に絡み付いていった。

黒トラ君は、両の目が顔の中心に寄っていて、忘れ難い顔つきをしている。以前、近くのちっぽけな公園で出会った子だ。丸まると太り、毛艶も良かったので、てっきりどこかの飼い猫と思っていたのだが…。
社務所の前には、黒と茶の毛が入り混じった子がいた。持参したドライフードをあげると、さして喜びもせず、「折角のご好意ですから、頂戴いたします」といった感じで、のんびりと手から食べた。社務所から宮司さんの奥様が出ていらして、「みんな、人に慣れているでしょう」と我が子を自慢するような表情で声を掛けてくださった。

本殿に一礼して境内を後にする。黒トラ白ちゃんが、裏門の角までついて来て、見送ってくれた。