あの街:有楽町〜日比谷

May 2006   reported by neco


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50歳以上の夫婦の映画鑑賞は、二人で2,000円というお得なサービスに味をしめて、連休が取れるときは、映画を見に出かけます。向う先は決まって有楽町。渋谷や新宿の雑踏を避けるようになったのも、歳のせいかもしれません。
まずは有楽町に出て、マリオンで映画のタイトルと上映時間をチェック。それから、GINZA 5と泰明小学校に挟まれた歩道を通って日比谷に向います。必ずこの道を通るのは、目的があってのこと。数寄屋橋のにゃんこに会えるからです。

ここにいる猫たちに初めて気づいたのは、4年前。その時は、わずか5、60メートルの間に8匹の猫たちと行き会いました。ピンク・パールのピアスをしていた美猫の姿は記憶に鮮明です。この猫たちと、近所で働く人たちの固い絆を目にして、とても幸せな気持ちになりました。
ところが、しばらくして、猫たちの姿がまったく見えない時期が続きました。まるで『猫狩り』にでもあったようで、おとうさんも私も、ただ黙ってその道を通りすぎました。
でも、今回は、待望のにゃんこに出会うことができたのです。
たった2匹でしたが、猫たちのそばには、ご飯が置かれていました。どれほどほっとしたことか……。

日比谷に出ると、ここでも映画のタイトルと上映時間をチェックして、その日見る映画を決定!それから腹ごしらえ。最近のお気に入りは、『吉祥』というレストランです。晴海通りと日比谷通りの角にある日比谷マリンビルの14階で、皇居と日比谷公園の深い緑を一望に眺めることができます。ここで、ゆったりと食事と景色を楽しむと、知らずに足は日比谷公園に向います。食後のコーヒーは、日比谷公園の中にあるガーデンレストランで。GWとあって、屋外の席はほぼ満席。一番奥にたった一つ空いていたテーブルを見つけました。
賑わいと陽光と緑に囲まれた空間……浮き立つような思いと都会に残された自然をともに満喫できる、すばらしい空間です。反対側に目をやると、あれ!にゃんこ発見!!
2匹でのんびりと初夏の陽射しを楽しんでいます。すぐ後ろには遊歩道が巡っているのですが、2匹とも人の気配に頓着することなく、このひとときを満喫している様子。しばらくすると、右側のシマシマが白ちゃんに遊びをせがみ始めました。シマシマは昨年生まれで、白は一昨年に生まれたとのこと。昨年の台風で、親猫たちは亡くなってしまったと言います。レストランの残飯をもらっているのかと思いきや、キャットフードをあれこれ選んであげているのだと、レストランの方たちは、猫たちに優しい視線を送りながら、語ってくれました。
白ちゃんに思ったように遊んでもらえなかったシマシマは、木陰で香箱を作りました。ここで一眠りするのでしょう。

このレストラン猫たち見たさに、数日後、再びここにやって来たのですが、その時に見つけたのは、シマシマと新顔の白黒。レストラン猫は総勢何匹なのかしら。
帰り道、白黒がレストランの裏口で満足気に身繕いをしているところに出くわしました。きっと遅いお昼をいただいたのでしょう。

猫たちは、レストランの方たちの優しさに守られてはいるものの、自然の風景にしっくり溶け込んで見えました。

本日の映画は、マリオンで見ることになっています。映画の前に、もう一つお楽しみが待っています。有楽町へと戻る道で、もう一度、数寄屋橋にゃんこに会えるかもしれないのです。
植込みのところどころに、傘が差し掛けてあります。傘の下には、おそらくダンボールの家が作ってあることでしょう。
行きがけに出会った三毛を再び発見。
「いい日だわねえ」
と、無言の挨拶をかわして、映画館に向いました。