この町:東京都足立区江北近辺

May 2005   reported by katz


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ここは、戦前はほとんどが田んぼ、畑だったという地域で、戦後、団地などの公団住宅が大量に建てられた。戦前の地主層と、古くから公団住宅に住む低所得層が混在する町だ。


ほとんど住民がいなくなり、廃墟に近くなった地域。建物の老朽化、住民の老年化が著しい。こうした地域ではネコは厚遇されている。半ノラといった状態だ。写真に写っているネコはとても人懐っこく、この地域で厚遇されていることを裏付けている。主がいなくなった家が多い通りを気分良く闊歩している姿がすがすがしい。




この地域には、随分前から「ネコ屋敷」と呼ばれる家がある。どこからかは知らないが、とにかく捨て猫が多く、彼らの面倒をみてきたことからついた「屋号」だそうだ。
現在では啓蒙運動が進み、捨て猫はなくなった。故に一時期はゴロゴロいたノラ達がいまでは3匹にまで減り、しかも半ノラ状態。写真に写っているネコは特に人懐こく、三毛の雌ネコは、私がエサをやるわけでもないのに、呼ぶと駆け寄ってくる。
近隣の住民も彼らには愛情をかけているようで「ネコ屋敷」は安住の地となっている。



古くからの住宅街に住むネコ。片耳がないのは虐待によるものではなく、ケンカによるもの。痛々しくはあるが、ネコ社会の掟から生まれた傷だから、いたずらに人間の感傷を持ち込むことは良くないかもしれない。ここには他にも何匹かのノラ達がおり、あまり人間と関係を持ちたがらない。こうした住宅地域でガリガリにやせることもなく、人からも虐待されることもなく、ノラ猫として独立して生きていくことが、猫達にとっての本当の幸せなのかもしれないと、私は思う。

大規模な団地にひっそりと暮らしている猫。体格も良く、やはり虐待を受けた痕は見受けられない。この地域も住民の老齢化が進んでおり、住民は減る傾向にあるが、さびしくなったお年寄り達は、ノラを優しく見守っているのだろう。人間と猫の社会に線が引かれているように感じた。


『猫談義』にも投稿してくださるkatzさんの、一枚一枚の写真から溢れるあたたかい視線……
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