スラム・ダンク、ゴンちゃん(H22.8.1)

幾度となく危機的状況を迎えながら、ゴンちゃんは、お陰様で、今、小康状態を保っています。
トイレに向かいながら縁をまたぐことができず、トイレの脇でオシッコをしてしまったり、部屋の隅に隠れるようにして、見るのも辛いほど荒い呼吸をしていたことを思うと、この小康状態は、神様のご加護や皆様の応援といった目に見えない大きな力が、ゴンちゃんの生命力を引き上げてくださったお陰としか考えられないほどです。
心から感謝しております。

現在のゴンちゃんをまずはご覧ください。

ね、NBAの選手のようでしょ!!
この姿は、ゴンちゃんの三重苦の結果です。

かなり重篤な心臓疾患に加えて自己免疫による血小板減少症を患っていることはすでにお話しした通りですが、このバスケットボール選手のようなウェアの下には、裂けた皮膚が隠れているのです。

ある朝のこと、私が起きた物音に、ゴンちゃんはいつものように自室から大きな声でご飯の催促をしていました。
スープ仕立てのフードを開けるのが間に合わないほどの食欲を見て、ほっとしながら一旦部屋を後にしました。
階下で他の猫たちにご飯の用意をし、缶詰、赤身の刺身、ドライフードなどをお皿に盛って再びゴンちゃんの部屋の扉を開けると、床の上に直径2cmくらいの一束の毛が落ちているのが目に飛び込んできました。
部屋にはゴンちゃん一匹。ケンカをした訳ではありません。
慌ててゴンちゃんの体を調べると、左腿の外側がぱっくりと割れています。
部屋の中に置いてあるものは猫のケージとキャリー、トイレに爪研ぎ、数個の衣装箱、とゴンちゃんを傷つけるようなものはありませんから、ゴンちゃんが身繕いの時に毛を引っ張ったとしか考えられません。
そんなことで毛が抜け皮膚が裂けるのは薬の副作用に違いない、と直感しました。

病院はゴンちゃんにとって大変なストレスらしく、行く度に体調がガクンと落ち込むのですが、この傷を放っておくことはできません。
ゲンタシンを塗ったガーゼを当てて、病院に出かけました。
診察の結果、やはり縫合するしかないとのこと。
ゴンちゃんの心臓は全身麻酔には耐えられませんから、局部麻酔をかけ、何とかあやしながら縫合することになりました。
先生は、室内の何か鋭利なもので切ったのだろうと言われるのですが、部屋にはそのような物は一つとしてありません。
毛繕いをしていて裂けたのでは、と伺うと、そんなことで裂けるとしたら、皮膚が紙のように薄くなっているはず、とのことでした。

一旦ゴンちゃんを病院に預け、同日の夜、迎えに行くと、ケージの中のゴンちゃんは比較的元気そうな様子でした。
対照的に曇った表情だったのは先生。皮膚は薄紙のようだったそうで、ステロイド剤の副作用とのことでした。
通常より皮膚を多めに縫い込んだ傷跡は色を失い生白く、縫い糸が黒々と見えます。
皮膚に十分な血液が供給されておらず、縫合してもくっつかないかもしれない、とのことでした。
ステロイド剤を切ることができれば徐々に皮膚も快復してくるのでしょうが、ステロイド剤は命と直結します。
幸い血小板数は正常値を保っていたので、まずはステロイド剤を1錠にすることにしました。
傷は包帯を巻ける場所ではなく、絆創膏も使えず、ガーゼを当てた上にバンデージの服を着せていただいたものの、ガーゼがずれ落ちることは必至です。
バンデージの上からさらに洋服を着せるように、とのことで、病院からの帰り道に調達したのが、このバスケットボール・ウェアという訳です。
このウェア、足の部分が長く、ガーゼは今日に至るまで一回もずれることなく、目的を100%果たしてくれています。

病院、縫合というストレスを受け、ゴンちゃんの心臓の状態がどうなるか、注意深く様子を観察していましたが、本当に幸いなことに、体調のくずれは見えませんでした。
次回の病院は、ステロイド剤を1錠にした後の血小板数の測定日です。
やれやれ、と思っていた矢先、何と縫合した傷のすぐ下の皮膚がまた裂けてしまいました。
今回は傷全体を縫合できないだろうことは、素人目にも明らかでした。
「ゴンちゃん、痛いねえ」
「ゴンちゃん、辛いねえ」
「ゴンちゃん、かわいそうだねえ」
何の助けにもならない言葉をつぶやきながら、エリザベスカラーの中の顔に頬を寄せ、背中をただただ撫でていました。
その背中はバスケットボール・ウェアの上からでも骨のとんがりが痛々しく伝わってきます。
食べるものはそれなりに食べているのに、どうしてこんなに痩せるの?
嗚呼……

感傷に浸っている場合ではありません。
病院へ行かなくては。
今回の傷は、端を数針縫合するのがせいぜいでした。
一番細い針で、局部麻酔もなしに縫合を済ませました。
縫えなかった部分は、自然治癒を待つしかないのですが、最初の縫合の部分もくっついていないような状態で、自然治癒など期待できるのでしょうか。
皮膚の色は相変わらず薄灰色で、血の気を感じることができません。
体重は5キロになっていました。
わずか2ヶ月ちょっとで1.6キロも減ってしまうとは……。
もっともこれだけ身が軽くなれば、心臓の負担は軽減されるのでしょうが。
そう思って自分を納得させるしかありません。

開いたままの傷口に、抗生剤の塗布と服用が始まりました。
それでも、傷口は化膿したように見えます。
再び先生に診ていただくと、化膿よりさらに悪いことに、皮膚が死んで脱落しているのだということ。
一体どうなるのでしょう。
苦し紛れに、皮膚に効果のあるサプリメントはないものか、相談してみました。
それでは試しに、と出していただいたのは、犬の認知症予防のサプリメントでした。
「血行を助け、皮膚にも効果が期待できるのですが、果たして食べてくれるかどうか」
と先生。
「食べてくれる」ではなく、「食べさせる」しかないでしょう?!

以前からの薬に抗生剤とサプリンメントが加わり、朝晩、ゴンちゃんの元に運ぶ薬皿は山盛りいっぱいです。
薬皿を見ると、ぷいと顔を背けるゴンちゃんですが、エリザベスカラーを取り、顔をしっかり押さえて、容赦なく粒を喉の奥に押し込んでいきます。
これなら味もわからずに飲み込んでしまいますから、ゴンちゃんにとって一番楽な方法です。
サプリメントはクッキー状ですが、これも薬と同じ扱い。
「は〜い、ぜ〜んぶ飲めたね。偉いねえ」
全部飲み終えたゴンちゃんを、毎回抱きしめます。
左腕一本で楽々抱ける軽さが悲しいのですが……。

血小板数の測定の日がやって来ました。
まずは傷の治療から。
ガーゼを取った皮膚に赤味が戻っています。
最初の縫合の箇所も何とかくっつき、抜糸ができる状態になっていました。
ステロイド剤を減らした効果か、サプリメントのお陰か、おそらくその両方なのでしょうが、本当に嬉しいことでした。
体重も120g増えていました。
血小板数も正常値を保っており、ステロイドの服用は隔日1錠となりました。
ただ皮膚の厚さだけは相変わらず紙のようで、外部からの刺激を防ぐために、エリザベスカラーとバンデージ、洋服の3点セットはまだしばらく続けることになりました。

ゴンちゃんは、今、黄色とブルー、2着の洋服を交互に着ています。
王様が冠るエリザベスカラーも、似合っているでしょう!!

どうぞ、皆様、健気に頑張っているゴンちゃんに、これからも変わらぬ応援をお願いいたします。

ダンク・シュートの代わりにせっせと爪研ぎ!

利尿剤を飲んでるから、喉渇くんだよね。

王様はエリザベスカラーをしてなきゃならないんだけど、ない方が気分いいよ。

お部屋に一人でお留守番だから、ママが帰ってくるとついつい甘えちゃうんだ

 

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