2年経って (H14.8.1)

 一生忘れる事のない7月31日、ロッキーが逝ってしまった日。今年はお休みと重なり、一日ロッキーを忍ぶこととなった。
 2年前、ロッキーが血を流しながら横たわっていた道路には、なぜこんなにも消えないのだろうと訝しく思う程、いつまでもいつまでも血溜まりの跡が残っていたが、数カ月してその跡もようやく薄くなり始め、今ではすっかり姿を消した。それは、Neco一家の心の傷跡と同じで、道路に跡が残っている間、Neco家の面々の心の傷からはいつも鮮血が噴き出し続けていたように思う。家族一人一人が互いの傷に触れぬよう、黙って痛みに耐え、笑い声の消えた家の中でうつろな時が過ぎた。それでも道路の跡が薄くなる頃には、心の傷もかさぶたを作った。
 昨年の7月31日、ロッキーとなっちゃんとてっちゃんの写真を食卓に並べ、ぱぱちゃんが3匹に買ってあげたおもちゃ代わりのきれいなネックレスを額縁に飾り、一緒に夕食のテーブルを囲んだ。食事の前にロッキー伝授の『ふんふん』を唱和した時、家族一人一人の目から涙だこぼれた。



 あれから1年、ずいぶんロッキーの話しをするようになった。「なんで、あんなことに」「なんで、あんな所へ」と言う代わりに、「ニセドとトンちゃんは本当に悪い子なんだから。ロッキーだったら猫パンチ一発で躾けたんだろうけど」などと語り合っている。
 折りしもプランタン銀座の『和み猫屋』開催初日でもあり、ぱぱちゃんは3匹のために渡辺順子さんのガラス皿と小さなグラスを買った。お皿にはきれいなお寿司をのせ、グラスにはジュースを注いだ。家族には美味しそうなお弁当。ロッキーと一緒に出かけたお花見の再現だ。3匹の写真をテーブルにおいて、「ロッキーちゃん、いただきます。ふんふん。」ぐっと来るものを、しっかりこらえて、3匹に話しかけながらの食事だった。
 ロッキーの弟妹もロッキーの年を追いこした。体も遥かに大きくなった。額縁にポーズをとって収まっているロッキーはいかにも幼いが、それでもすべてを見通している。ロッキーはNeco一家の最高の相談相手なのだ。