す〜りすり (H14.3.23)

『隣の宮沢さん』というより、今や『上の宮沢さん』となった新入りは、すっかりお腹もなおり、抗生物質入りのご飯だけではとても足りず、プラス猫缶一缶&キャットミルクを平らげ、それでも満腹しないでいる。慢性の飢餓状態が落ち着くまでしばらくは、いくら食べても心のお腹が減っているのだろう。
体はまだまだ骨と皮だが、日を重ねるごとに目に見えて元気を取り戻している。そしてよく泣く。大きな声で泣く。甘えん坊なのだ。

興味津々おそるおそる近寄る『らーちゃん』を気配で感じると、すぐにトラベルキャリー(家に連れて帰ったトラベルキャリーがそのまま『上の宮沢さん』の陣地になっている)から出てきて、『らーちゃん』の体にす〜りすり。後ずさりする『らーちゃん』をどこまでも追いかけて、す〜りすり。真剣に逃げ始める『らーちゃん』に歩調を合わせてす〜りすり。逃げても逃げても、す〜りすり。ほとほと困った『らーちゃん』は、心ならずも半端な猫パンチを繰り出す。そんな柔な猫パンチなど全く意に介せず、『上の宮沢さん』のす〜りすりは続く。

さあ、困った『らーちゃん』。でも、『らーちゃん』はこんなときに格好の秘密平気を持っている。おなじみ、『おしっこピッ、ピッ』のマーキングだ。『らーちゃん』が立ち止まったら御用心。何も知らない『上の宮沢さん』は『おしっこピッピッ』のとばっちりで、体中『らーちゃん』のおしっこまみれになる。それでも平気なのが『上の宮沢さん』だ。今日も『らーちゃん』のおしっこの匂いを漂わせた体をす〜りすり。見える方の右目も不自由なのか、鼻も効かないのか、ご飯のお皿も顔でさぐりあてるしかなく、お皿から押し出してしまったご飯にはまったく気づかず、Necoの指をご飯と間違え思いっきり食らい付く──そんな『上の宮沢さん』が『らーちゃん』を追い続ける。