抱きしめて (H14.2.28)

ラッキーストーンがラッキー餅になって久しいとうのに、とんでもない問題行動勃発とあいなった。ある日突然、ベッドに上ってきたラッキーは頭の方におもむろに歩を進め、寝入るぱぱちゃんの顔の方にくるりとお尻を向けるや『シュッ、シュッ』とマーキング!!生暖かいものを顔面に浴びて、一瞬何のことやらわからなかったぱぱちゃんも、次の瞬間にすべてを悟り大慌て。一体全体どうしたというのだろう。何の脈絡もない行動に顔を拭きながら唖然とするばかりだった。これを皮切りにままちゃんの毛布の上やら、枕の脇やら、とんでもないところにマーキングは続いた。ラッキーともそこそこ折り合いの良い『ぬーちゃん』が2、3回ままちゃんのベッドで寝たのが原因だろうか。二人してままちゃんの足元で寝ていたのに…。かくして、寝る時間になると一緒に連れてってと『お願い』の視線を送るままちゃん子の『ぬーちゃん』は、再び他の4匹とおばあちゃんのベッドを分け合うことになった。

これで一件落着かと思っていた矢先、今度は眠っているままちゃんの耳めがけてマーキング噴射となった。立て続けにぱぱちゃんの顔にも降ってきた。さすがに一度は『こらっ』と怒鳴ったものの、ままちゃんにはその怒鳴り声が妙に無力で、なぜか場違いに聞こえた。いよいよ問題行動の専門家に相談に行くしかないかと真剣に考えた。

『どうしたの、らーちゃん、どうしてあげたらいいの?』とつぶやきながら、ままちゃんはラッキーを抱きしめていた。ぴたっと体をくっつけて、頬と頬を寄せて長い長い抱擁が続いた。ふと、ままちゃんは『ぼくのこと、好きでいてくれる?』と声のない声を聞いたような気がした。

以来、帰宅して顔を会わせると、真っ先に『らーちゃん』を抱き締めるのが日課となった。おばあちゃんも毎日のようにグルーミングをしてあげる。そんな様子を『エリちゃん』はお姉さんのようなやさしい目で眺めている。