クロちゃんに守られて (H14.2.15)

このところ、お外のメンバーが急に増えた。これまでの『お友だち』と『クロちゃん』に加えて、全身真っ黒の『マックロちゃん』と黒トラおデブの『クロトラちゃん』、そして全身真っ白の『シロちゃん』がNeco家の軒下のディナーに加わるようになった。新入りの3匹とも首輪なしだが、『マックロちゃん』と『クロトラちゃん』はどこかに別宅がある──と言うより、Neco家が別宅なのだろうが──らしく、ふっくらと栄養状態良好に見える。一方『シロちゃん』は、目やににまみれた小作りの顔とねずみ色に汚れた小柄なからだを引きずって、一昨日初めてやってきた。おばあちゃんは、思わず「マロンなの?マロンじゃないよね」と叫んでみたものの、『シロちゃん』は白いという以外、大柄なマロンと通ずるところなく、一瞬の期待はあえなく萎んだが、新しい客人の前にいそいそとテンコ盛りのお皿を置いた。猫たちはここにご飯があることをどうして知るのだろう。
昨日、おばあちゃんは『クロちゃん』に呼ばれて、お決まりの場所に夕御飯を置いた。ふと顔をあげると、低いフェンスを挟んだ向こう、お隣の勝手口のところに『シロちゃん』が座ってこちらを見ている。気配を感じてか、『クロちゃん』もお皿から顔を上げ、『シロちゃん』を凝視している。仁義なき闘いが始まるのかと不安にかられながらも、おばあちゃんは『シロちゃん』のご飯を取りに家に引き返した。大急ぎで御飯を入れたお皿を手に外に戻る。シンと静まりかえった空気に、早くも『シロちゃん』は追い払われたかと思いつつ、そっと『クロちゃん』の食卓を覗く。ご飯のお皿に顔を突っ込んでいたのは、なんと『シロちゃん』だった。『クロちゃん』は自分のご飯を『シロちゃん』に譲り、そばで見守っていた。
夜、居間の灯につられたのか、『シロちゃん』がまたやってきた。目の前に置かれた夕飯から時々顔を上げ、こちらを眺める『シロちゃん』の目は目やにから解放され、穏やかなやさしい光りを放っている。