2013/10/5 あっちゃんの投薬は7日で終わった。
具合の悪い間、ずっと姿を見せていたあっちゃんは、再び私の視界から消えた。
完食してあるご飯皿が、「元気だよー」というあっちゃんからのメッセージという以前の状況に戻ってしまったのだ。
そんなあっちゃんだが、ステーキ屋さんにはご飯をねだりに行くらしい。
ステーキ屋さんのマスターは、あっちゃんがぐんぐん太ってきて、この調子では肥満になってしまう、と嬉しさ半分、心配半分に語る。
ステーキ屋さんには、夕方の抗生剤の投与をお願いしていたのだが、何と、お店で使う身の厚い極上ホタテを焼いて、そこに抗生剤をまぶして食べさせていたという。
それに味をしめたあっちゃんは、投薬が終わってからも、ホタテの時間になると勝手口に座って待つようになったのだそうだ。
あっちゃんならずとも、待ちますわねえ。
根気よく待たれると何かあげたくなるのが人情で、結果、ご飯の回数が増えて、おデブ街道に入り込んでしまったというわけ。
肥満は万病の元だしねえ、困った、困った。
と、今は別の悩みを抱えるようになりました。
2013/9/15

ぬーちゃんの週一の病院通いは続いている。
インターフェロンを打ち始めて4カ月。
体重は僅かずつ減り続け、目下5。5キロ、小康状態を保っている。
体が軽くなったからか、これまで上ろうともしなかった高めの椅子にも上るようになり、平面生活から脱却しつつある。
私自身も病気の猫を抱えた緊張感が和らぎ、気持ちに多少のゆとりが出てきた。

そんな折も折、独りぼっちになってしまった会社の外猫、あっちゃんが、口の端から涎を垂らし、先っぽが黒く変色した舌をだらりと出したまま、生気のない顔で座っていた。
口内炎?!
何とか病院へ連れて行けないだろうか……
タマとホワイトソックス、それぞれを病院に連れて行こうと強引に捕まえた時に、じっと見ていたあっちゃんにとって、私は危険な存在と映るらしく、2件の捕り物以来、私とは距離を置くようになってしまっていた。
それでも微かな望みを抱いて、そっと、ゆっくり近づいてみた。
相当具合が悪いと見え、いつもの素早さはないものの、あっちゃんは見切ったように、必要最低限の動きで私の手を逃れてしまう。
頼みの綱は、あっちゃんが唯一心を開いているステーキ屋さんの奥さんだ。
捕獲用の洗濯ネットを預けて、病院の連絡先を伝え、待つことに。
そんな算段を知ってか、或はさらに具合が悪くなってか、あっちゃんは姿を見せなかった。
ホワイトソックスを失い、たった独りになって9カ月……命の重さを小振りの身体に感じたように、好き嫌い甚だしかった食事も、きれいに平らげて、健気に生きてきただけに、この窮地に何もできないことが歯がゆく、辛い。
病院に空身で出掛け、先生に相談したところ、猫エイズか白血病が引き起こした口内炎の可能性が高いとのこと。
ステロイドは薬効は高いが、きちんと投薬できないと危険でもあることから、まずは抗生剤を試すことになった。
ウェットフードに抗生剤を混ぜて置く。
食べてくれるかどうかはあっちゃん次第、あっちゃんの命分に任せるしかない。
夕方、恐る恐るお皿を覗きにいくと、薬入りフードは完食、ドライフードも8割方食べてあった。
よしっ!!
7日分いただいた抗生剤は、1回分を除いてあっちゃんの身体に取り込まれた。
投薬を開始して5日目だったろうか、香箱を作っていたあっちゃんの口からは糸を引く涎も消え、舌も見えず、唇はしっかりと閉じられていた。


2013/7/7 更新を休憩していた3カ月の間に、我が家では、またまた病院通いの猫さんが……。
ぬーちゃんが尋常でない痩せ方で、検査の結果、重篤な肺炎に冒されていることがわかった。
9キロの巨漢だったぬーちゃんが痩せ始めたのは1年以上前になるが、その時は、肝機能が若干落ちている程度で、大きな問題はなかった。
昨年の暮れの時点で、体重は6.8キロ。肝機能は、薬の服用により、正常値に収まっていた。
ところが、この5月には背骨が尖り、頭の骨までゴツゴツと撫でた手に嫌な感触を残すようになった。
体重は5.7キロに減っていた。
胸に当てた聴診器から異常音が伝わったのだろう、X線を撮ったところ、肺は真っ白で、心臓も写らないほどだった。
さらに、肺胞と肺胞がくっついた、ブラとよばれる風船状の物がいくつも見つかった。これが破裂すると気胸となってしまう。
人間だったら、呼吸が苦しくて普通の生活などできない状態だそうだが、ぬーちゃんには、時々むせる以外に目に見える症状は出ていない。
熱もなく、白血球も正常値であることから、この肺炎は慢性的なもので、ガンが絡んでいる可能性もあるとのこと。
インターフェロンを注射し、10日ほどステロイドと抗生剤を投与したが、肺の状態は変わらなかった。
ステロイドの薬効か、むせることは全くなくなった。
抗生剤はこの時点で、中止。週一回のインターフェロンの注射と、ステロイドを副作用のないレベルまで量を下げて服用し続けることになった。
ブラはいつ破裂するか判らない。爆弾を抱えているようなものだ。
肺炎も回復の希望は持てないとのこと。
あとは、残された日々を少しでも心地よく過ごせるよう、できる限りのことをし、祈るだけだ。
以来、ぬーちゃんは、特別扱いとなった。
何かちょうだい、とねだりに来れば、どんなに忙しい最中であろうが、すべて放り出して好物のカリカリを手で食べさせる。
撫でてちょうだい、と来れば、洗い物をしている濡れた手を慌てて拭いて、気の済むまで撫で続ける。
そんな特別扱いを、横目で見ているトンちゃんは、嫉妬心からか、マーキングを連発。さもありなん、とトンちゃんの心中を察しながら、ぬーちゃんへの特別扱いは続く。
お陰で、ぬーちゃんの体重は多少増え、我が儘はどんどんエスカレートしている。
どんなに我が儘でもいい。体が楽で、心が満たされていれば、それでいい。
2013/4/12

前回の更新から、何と5カ月。
これまで、なかなか更新されない『猫三昧』を、「そろそろかな?」と思いつつ、開いてくださっていた方々も、最早「あ〜あ、尻切れとんぼで終わりかあ」と愛想をつかしたことと思う。
更新できずに日が経つにつれ、1回の更新が重くのしかかってきて、どこか逃げ腰になっていたように思う。
最初の意気込みも、青息吐息で更新を続けて来た歳月も、過去に葬り去ることのは容易いことだと、しみじみ思う。
このHPは、何をやっても三日坊主だった私のライフプロジェクトのはずだった。
途中で止めてしまっては、挫折感しか残らない、と思うのは、曲がりなりにも今日、更新できたからで、更新しないまま、立ち消えてしまったら、そんなご大層な感慨は湧くこともないのだろう。夢中でHPを作っていた時があったっけ、と懐かしく思い出すのがせいぜいだ。
いずれにしても、首の皮一枚で、『猫三昧』は命を繋ぐことができた。
正直、ほっとしている。
自宅にPCがないから、コンテンツは仕事の合間に途切れ途切れに作るしかない。
仕事が山積していれば、それも叶わないのだが、『猫三昧』の延命の為にも、今一度、仕事の効率化を図らなくては!

もし、猫三昧を読んでくださる方がおありでしたら、今後ともよろしくお願いいたします。

2012/11/16

1カ月のご無沙汰でした。
まずは我が家の近況から。
糖尿病のニセドは、インスリン量を2目盛(1単位)まで減量して1カ月が経ちました。血糖値は微妙に上昇基調。体重が200g増えてしまったことも、インスリンを効きにくくしている一因のようです。m/d缶という糖尿病の療法食を1缶半、それにマグロのフレークの缶詰80gを2缶……これがニセドの1日の食事ですが、療法食にもすっかり慣れたニセドは、あっと言う間に平らげて、『もっとくれー!!!』とわめき続けます。果てはゴミ箱あさり。蓋付きのゴミ箱に頭を突っ込み、蓋が首にすっぽりと嵌ってエリザベス状態になること屡々。あまりに不憫で、気持ち程度のオマケをしたのが、そのまま体重増加に繋がってしまったようです。もう一度、気持ちを引き締め直さなければ!!

モナコの背中のデキモノは、病理検査の結果、良性の脂肪腫と判りました。ほっとしました。手術のために毛を刈った背中が何とも剽軽で、見る度に吹き出しそうになりますが、笑っていられることが、本当にありがたく思われます。

タマは、相変わらず元気で、私の就寝前のひととき、個室から連れ出して、小一時間、一緒にテレビを見るなどして過ごしています。タマちゃんが私の部屋に来てまず最初にすることは、住人であるエリちゃんのご飯を全部平らげること。食べ物に執着のないエリちゃんは、あきれ顔で眺めています。以前は、エリちゃんの傍に忍び寄ることばかり考えていたタマも、今では諦めて、ご飯を頂戴した後は、私のベッドで大人しく寛ぐようになりました。それでも、私が寝入ってしまった後、タマがエリちゃんに対してどのような行動に出るのか予測がつかないため、ひとしきり過ごした後、タマには自室にお引き取りいただいています。

あの子にこの薬、この子にこの薬、と朝晩大忙しではありますが、病気猫4匹と+7匹+2人の生活は、落ち着きと笑いを取り戻してきました。

朝晩、随分冷え込むようになりました。街路樹のケヤキもイチョウも、色づいて秋の終わりを告げています。
空気も乾燥していますので、皆様、お風邪を召しませんよう。
加湿器を使うと、猫風邪の予防にも効果があるそうですよ。


2013年の多摩猫カレンダーが出来上がりました。
カレンダーの売上金は全額、多摩猫の医療費など、救済基金に当てられます。
皆様のご協力を心よりお願い申し上げます。
画像をクリックして小西さんのホームページよりお求めください。

2012/10/12

もう、このサイトを覗きに来てくださる方もいないんだろうなあ。
更新できないまま2カ月くらい経ったかと思っていたら、何と4カ月近くになっていました。
糖尿病のニセドの血糖値モニターのために、仕事をこれまでより2時間早く切り上げて帰宅するようになったのが、更新できなかった大きな理由です。
2時間仕事時間が短いと、かなり根を詰めてもやり残しが溜まる一方。
家にパソコンのない私には、お手上げでした。
というわけで、これを読んでくださっている奇特な皆様、おひさし振りです。
4カ月の間に猫本もたくさん読破しましたが、『猫本』のコーナーで紹介する前に、どんどん記憶が薄れてきています。
今回は、ニセドの闘病記を掲載しました。
インスリン治療を初めて4カ月が経ちましたが、今回ほど、経験者の皆さんの情報にすがり、ありがたく思われたことはありません。
一向に光明の見えない治療に、どれほど憔悴したことか……そんな私を支えてくれたのが、多くのサイトに掲載されている経験談でした。
私の体験も、これからインスリン治療を始める方のお役に立つかもしれない、と思い、データも含めて掲載させていただきました。

ニセドはお陰様で、血糖値が安定してきましたが、今度はモナコちゃんの背中に直径3cmほどのふくらみができました。
細胞を見ていただいたところ、脂肪の外に怪しげな細胞が混じっているとのこと。
一昨日、摘出手術をし、病理検査に回すことになりました。
悪性の腫瘍でなければ良いのですが……。

いやはや、今年は、看病に次ぐ看病の年です。
せめて看護人である私は、健康でいなければ、ね!!

2012/6/22

6月だというのに、台風4号、5号と、立て続けに日本に上陸。
被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
多摩川では中州に取り残された子供が救出されましたが、多摩猫たちはどうしただろうか、と気になっています。

瀕死の状態で我が家にやって来たタマは、奇跡的な快復を見せ、蒸し暑さで食欲減退気味の我が家の猫さんの中で、一人変わらぬ勢いでご飯を平らげています。これだけ食べていれば、もう少し体がふっくらしても良さそうなものですが、痩せっぽのままでいるのは、腎機能自体が好転しているわけではないからでしょうか。

糖尿病のニセイは、相変わらず血糖値モニターとインシュリン接種を続けています。食事は療法食ですから、他の猫たちと一緒に食べることはできず、別室で一人、ついばむように、しぶしぶ食べています。よほど口に合わないのか、あの大食漢が20分経っても所定の量の半分も食べていない有様で、傍にいて、なだめすかして何とか9割方食べるのが精一杯。別室から解放され、いつもの食事場所に飛んでいっても、何もない……そんなニセイを見ていたら、私たち夫婦の悪癖が止みました。恥ずかしながら、私たちは、眠る前のひととき、コーヒーとお菓子を食べるのが癖になっていました。お菓子の量はどんどん増える一方で、毎日買う食料品の半分がお菓子という具合です。これはまずいよね、と二人で話しつつ、止められなかったものが、我慢を余儀なくされているニセイを見るうちに、二人で同時に、お菓子を食べなくなりました。いやはや、猫の力は偉大です。

2012/5/31

何と、何と3カ月振りの更新です。
『猫三昧』開設以来の長期休暇となってしまいました。
もう3カ月?という気もしますし、前回の更新が遥か昔のようにも思えます。
この3カ月は、会社の外猫さん、タマちゃんと歩んだ3カ月でした。
その詳細は、今回アップロードした『タマサブローの闘病日記』に書きました。
タマちゃんは、今、我が家で余生を送っていますので、ご安心を。

猫に対する医療について、動物病院に通い、投薬や強制給餌を続けながら、本当にこれでいいのだろうか、猫たちにとって何が最善なのだろうか、と思い悩んだ方も多いのではないでしょうか。

外猫として8年間、家のない暮らしをしてきたタマは、その闘病の中で、医療を考えるきっかけと、一つの答えを与えてくれました。
医療は、個々の猫の状況や状態に応じて個別に考えるものであり、今回私が出した結論がすべての猫たちに当てはまるわけではありません。
ただ、外猫であったからこそ、はっきりと意思を示したタマに、教えられたことがたくさんあります。
皆様のご参考になれば、とかなり詳しく書き留めました。
ご一読いただければ、幸いです。

タマに続いて、ニセドが糖尿病と発覚し、目下、一日4回の血糖値測定と朝晩2回のインシュリン注射に追われています。

こちらも年々、老いていきますが、共に暮らす猫たちは、私たちの4倍の早さで生き抜けていきます。
老々介護となる日は遠くありません。

2012/2/25 一月振りの更新です。
2月ももう下旬。ひと頃の寒さも漸く緩み始めました。
昨日は、突然の春の到来のような温かさに、我が家の猫さん方も、ハイパームード。
殊に、二重の箱入り猫、エリちゃんは、何を考えたか、自室のドアが開くたびに脱兎のごとく廊下に飛び出し、わずかな逡巡の後、階段も下りて、日頃『ムサい!!』と忌み嫌っていた兄弟の好奇の目を物ともせずに、家内散歩を繰り返していました。
実は、二重箱入り生活も辛かろうと、2階の階段を上がったところに、階下の猫さんと隔てるエリちゃんの為の格子戸を新調しようとしていたのです。
それを知ってか、知らずか、自らリスク覚悟で、生活空間を広げようという試みに出たエリちゃん。
幼い頃は、本当に仲の良い兄妹だったのに、いつの頃からか、いじめの対象となり、トイレ中まで攻撃される有様で、さすがに見兼ねて二重箱入りにしたわけですが、一日の丁度半分を一人で暮らし、他の猫と没交渉の毎日に、そろそろ嫌気がさしてきたのでしょう。
こうして、一日のわずかな時間でも、違う空間で違う空気を吸うことは、エリちゃんの生活のアクセントになりそうです。
あわよくば、元のようにみんな仲良く、と思いもしますが、急いては事を為損じるので、じっくり時間を掛けることにします。
厳しかった冬の、たった一日の小春日和が、猫の心理にもこんな大きな変化をもたらすものなのですね。
家のない猫たちから心の離れない愛猫家にとって、冬の寒さはことさらに辛いものです。
みんなの気持ちで、春をたぐり寄せたいですね。
2012/1/28

寒中お見舞い申し上げます

連日、厳しい寒さが続いていますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
ひと月以上ご無沙汰してしまいました。
コンテンツの更新はできずとも、せめてご挨拶だけでも、と僅かなコマ切れの時間を使って、書き始めることにいたします。

今年のお正月は、とんだ寝正月になりました。
年越し魚の夕食と、除夜の鐘を聞きながらの年越し蕎麦を食べ、型通りに迎えた元旦。
お節とお雑煮をいただいて、お正月ムードも盛り上がったその夜中に、鬼の霍乱が始まりました。うんうん唸って夜を明かし、以後は飲まず喰わずでベッドの中で過ごすことに。
この数年、お正月の出来事が一年を占うようなところがあったので、今年の新年の決意は『腹八分目』にあっさりと決まりました。
4日にそろそろと起き出し、初詣に出掛け、5日の仕事初めに何とか間に合わせたものの、復調するまでに2週間かかってしまいました。
もっとも一旦完全復活すると『腹八分目』の決意はすぐに怪しくなる始末。
そう云えば、昨年の新年の決意だった『魚の目退治』も挫折に終わりましたっけ。
ともあれ、体が資本ですから、『腹八分目』は肝に銘じようと決意を新たにしているところです。

外の猫たちにとっては、冬の寒さより夏の猛暑の方が堪えるようですが、着られるだけ着込んでも震え上がる寒さの中で家のない命たちを思うと、息が詰まりますね。
彼らが飢えと寒さの苦しみから救われるよう、神仏に祈りながら、自分にできることを一つずつ積み重ねていきたいと思います。

これから暫くは、この寒さが続きそうです。
皆様、くれぐれもご自愛ください。

2012年もどうぞよろしくお願いいたします。