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ゆきの山荘の惨劇 平成12年10月25日 初版発行 |
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猫の正太郎は、結婚式に招待されて、柚木野山荘という山奥の別荘に招待される。結婚式には奇妙なロケーションだ。というのも、自分の作品を盗作された新婦が、その手引きをしたのが新郎ではないか、という疑念を持ち、結婚式の前に一芝居打って、白黒を見きわめたいと思ったからだ。 副題にある通り、正太郎が事件解決に一役かう『猫探偵正太郎』シリーズの第一作である。第一人称、『俺』は正太郎。ストーリーは正太郎の目を通して綴られる。といっても、猫を擬人化するわけでなく、猫だからこそできうることと、猫ゆえの限界とをきちんとわきまえた、細部までよく練られた構成になっている。一緒に行動する犬のサスケとの、動物としての能力の差異にも気が配られ、さすが犬と猫の両方を愛する柴田女史、と関心させられる。 |