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我輩は猫である 

1961年9月5日 発行
2002年5月20日 89刷
著者:夏目漱石
発行:株式会社新潮社
定価:476円(税別)
ISBN4-10-101001-3 C0193

このあまりに有名な文学作品の書評を書くなど、とてもおこがましい。
「本を読め」と、親、教師に言われる時代を本嫌いで通したnecoは、文学には縁遠く、本書と向き合うのが今となった。それが幸いだったように思う。学生の頃に読んでいたなら、改めて読み返さない限り、本書を味わい尽くすことはできなかったに違いない。

しかし、この一冊を読むのに、何と半年以上が経ってしまった。途切れ途切れに読んで、不思議に思ったことがある。普通の本ならば、一体どういう内容だったか、ストーリーを思い出すのに苦労もしただろうが、本書に限っては、どれほど間があこうが、何の抵抗もなく、『我輩』の世界にするりと滑り込むことができる。しかも、その時読んだページがたったの1ページでも、2ページでも、十分に楽しませてもらえるのだ。この本は、起承転結といった一冊を通して流れるストーリーラインがない。解説を読み、『我輩は猫である』は『ホトトギス』に11回にわたって連載されたものだと知り、合点がいった。
本書は、人間諷刺であると同時にすぐれた哲学書だと思う。これほどまでに、愉快に哲学させてくれる本があろうとは。また、当時の文学者の奥行きの深さには、感心など通り越して、わくわくさせられる。

何度読み返しても、その楽しさは変わらないだろう。

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