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1961年9月5日 発行 |
このあまりに有名な文学作品の書評を書くなど、とてもおこがましい。 しかし、この一冊を読むのに、何と半年以上が経ってしまった。途切れ途切れに読んで、不思議に思ったことがある。普通の本ならば、一体どういう内容だったか、ストーリーを思い出すのに苦労もしただろうが、本書に限っては、どれほど間があこうが、何の抵抗もなく、『我輩』の世界にするりと滑り込むことができる。しかも、その時読んだページがたったの1ページでも、2ページでも、十分に楽しませてもらえるのだ。この本は、起承転結といった一冊を通して流れるストーリーラインがない。解説を読み、『我輩は猫である』は『ホトトギス』に11回にわたって連載されたものだと知り、合点がいった。 何度読み返しても、その楽しさは変わらないだろう。 |