★★★★

バイオリンをひくネコ

1997年12月15日 第1刷発行
作・絵:小沢良吉
発行所:株式会社岩崎書店
ISBN4-265-03447-0
C8793

路地裏に住む野良猫のノラは、一風変わった猫だ。野良仲間と話すことも、共に遊ぶこともなく、ひとりで静かに過ごすことが好きらしい。だが、このノラが、心引かれるものが一つあった。それは、窓からもれてくるバイオリンの音。ノラは、その窓の下で、少女が練習するバイオリンに聞き入った。そして、ついに高い窓に飛び上がる。夏の炎天下も、冬の雪降る日も、欠かさず窓辺にやってくるノラを見て、少女は、家に招き入れる。そして……

バイオリンにのめり込むノラ、そのノラに、他の野良たちは陰ながら声援を送る。日頃付き合いなどないノラなのに、仲間外れにすることなく、その生き方を受け入れ、ノラの個性が奏でるバイオリンに耳を傾ける。
猫とバイオリン……不思議としっくりくるのは、ソフィストケートされたイラストのせいだろうか。
滑らかに、時に激しく、また時にゆったりと運ばれた筆は、バイオリンから流れ出るメロディそのもののようだ。この絵本は、一冊の画集でもある。


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