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1996年5月 第1刷発行 |
一人の少年がヒメという猫と一緒に森のそばで暮らしていた。ヒメは森で遊ぶのが大好きだった。それでも、いつも、フクロウが飛び回る前には少年の待つ家に帰ってきた。ところが、ある日のこと、ヒメは森に遊びに出かけたまま戻らない。少年は、ひたすらヒメの帰りを待ち続けるのだが… 命、自然…この一冊の絵本が伝えるメッセージは強烈だ。弱肉強食、食物連鎖という非情な自然の摂理を、輪廻転生を信じることによって受け入れいく少年。これまでに一緒に暮らした猫の数は100匹を超え、今も14匹の猫と暮らす作者だからこそ描き得た内容だ。だが、作者の絵筆は、その非情な自然を美しく、温かく描き出す。それは、自然賛歌であり、何を信じるわけでもなく、自然の掟の中で生き、やがて死にゆく動物たちへの敬愛の詩でもある。 |