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★★★★

トスカのおくりもの

1992年6月25日 第1刷発行
2007年12月5日 第6刷発行
絵:アン・モーティマー
文:マシュー・スタージス
訳:木原悦子
発行所:株式会社講談社
ISBN4-06-187875-1
C8771

猫のトスカは、静かで、あたたかくて、一人きりになれる場所を探さなくてはなりません。それも急いで。せっかく探したタンスの引出しの中は、お家の人に追い出され、次ぎに見つけた階段の一番上の段は掃除機に邪魔され、トスカは外を探すことにしました。ぶなの木の下、池のほとりの草むら……どこも一人きりにはなれません。困り果てたトスカに、ボーイフレンドのロジャーがとっておきの場所を教えてくれます。そして……

トスカのクリスマス(Tosca's Christmas)』に次ぐ、トスカの絵本の第2弾。トスカがなぜ静かで一人きりになれる場所を探しているのか、ロジャーはすぐにピンと来るのだが、読者もロジャーの登場するころに、ようやく事情が判ってくる。そう言えば、とページを逆戻りしてみると、ぶなの木に巣を作っている鳥を見ても、池に飛び込むカエルを眺めても、トスカの表情は曇っている。いつもなら、嬉々として見つめるだろうに……。
動物や花の細密画を専門とするモーティマーならではの表現力には、いつもながら感心しきりだ。自然な猫の表情の中に、心の内を見事に描き分けている。
また、トスカは、家の中から玄関先、庭、納屋と移動していくのだが、その一つ一つの場所に、イギリスの田舎の暮しと自然の匂いが溢れている。一日だけでもいい、トスカと入れ替わりたい、そんな気持にさせられる。


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