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ねずみをかう 1996年6月 初版発行 |
トラねこマーチンは、農場で生まれた3匹兄弟の末っ子。マーチンは、ちょっぴり変わった子猫でした。母さんが、子猫たちに御馳走のネズミを持ち帰ってくれていた頃から、ネズミが可愛く思えて仕方がなかったのです。食べるなんて、どんてもない!!ネズミを喜んで食べようとしないマーチンを、兄も姉もバカにするし、母さんでさえ、不甲斐ないと思うばかり。やがて、兄弟3匹が一人立ちすると、マーチンは、さっそくネズミをペットとして飼うことにします。どうなることやら… ふつうの猫と違う感覚を持つマーチンは、兄弟にも母親にも理解されないまま、自分の感じ方に素直に生きていきます。それは、孤独な道のりでしたが、ネズミを愛する気持ちがマーチンを支えていきます。そんなマーチンに、素晴らしい理解者が現れます。それは、マーチンと同じトラねこのお父さん。百戦錬磨の強いお父さんは、一人、自分の生き方を続けるマーチンを誇らしく思い、表になり陰になり、マーチンを支えていきます。マーチンは、ペットになったネズミを思い、できる限りのことをしていくのですが、どれほど心を通わせようが、『自由』のないペットのネズミが幸せになれないことを知るのです。 自分の生き方の追求、強い父子の絆、自由の模索…この物語のテーマは、広く深く、時空を越えて読む者の心にた訴えかけてきます。 |