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The Lighthouse Cat 文:Sue Atainton 絵:Anne Mortimer 発行所:Ktherine Tegen Books ISBN 0-06-009604-7 |
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昔、険しくそそり立つ岸壁の突端に灯台がありました。この灯台は、24本のロウソクで行き交う船の航行を守っていました。灯台には一人の灯台守が暮らし、30分に一度ずつロウソクの確認や取替え、手入れという孤独で単調な作業を続けていました。灯台守の生活用品は、週に一度漁村から舟で運ばれてきます。ある日のこと、魚や野菜と一緒に一匹の猫が灯台にやって来ました。灯台守の喜びようといったら……。孤独な灯台での生活は、明るく楽しいものになりました。 この物語は、イングランドはプリマスの南岸、エディストーン岸壁に立ち、130年もの長きにわたって灯りを送り続けている灯台(Smeaton's Tower)にヒントを得て生まれた。海に囲まれた孤独な灯台守の心と生活の、狭く深い隙間のすみずみまで、猫は溶けるように入り込み、あっという間に埋め尽くしてしまう。灯台守と猫……何と似つかわしいことだろう。 物語を通して、灯台守の顔は一枚しか描かれていないが、その横顔に彼の歩んだ人生と心情のすべてが描き出されている。写実的な表現の中に愛情と温かさを練り込んでいく Anne Mortimer ならではだろう。文もリズミカルで、美しく、まるで詩のようだ。繰り返し眺め、声に出して読みたくなる一冊である。 |