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2001年11月30日 初版発行 |
主人公ミラは猫の問題行動を扱うキャット・セラピスト。双児として生まれた彼女は、幼心に自分を妹の影のように思いながら育つ。そんな気持が引き起こした暗い過去を背負いながら、人間社会に隔たりを感じて生きてきたミラが恋に落ちる。一緒に暮らすようになり、ミラはこれまでに経験したことのないほど満たされた時を過ごす。しかし次第に二人の間の価値観や感性の溝の深さに気づき、破綻。心のぎりぎりのバランスを失ったミラは、共に暮らす迷い猫に自分を同化させることで、現実から逃避していく。 この長編の小説を恋や愛の物語と見る向きもあるだろうが、猫と対峙したときの人間のいい加減さ、相対的にしか生きられない頼りなさ、意味のないことに振り回されるバカバカしさの告発と考えるのはNecoだけだろうか。 |