★★★★ |
1994年10月31日 初版発行 |
12月になると、クリスマス・カレンダーを一日一日折り曲げながら、クリスマスを待ちわびる。この24日は、子供にとっては一年で一番長く、大人にとっては一番忙しいことだろう。本書は、その24の夜に、子供に語り聞かせる24のお話を集めたものだ。 主人公は一人っ子のシモン。24までちゃんと数えられないシモンのために、お父さんが飼い猫のフローラをモデルに絵を描いてあげます。尻尾には24の縞。その縞をクリスマスまで、一晩に一つずつ塗りつぶしていくのです。縞を塗る前に、決まってお父さんかお母さんがお話を聞かせてくれます。どれも短いお話ですが、シモンは、夢のような世界に思いを馳せます。 お話を語り聞かせること、それは子供の想像力をかき立て、心を豊かにし、やさしさを教えるものだと、改めて実感した。本の読み聞かせがせいぜいで、自分の言葉でお話をしてあげることがなかった自らの子育て時代を振り返り、大きな忘れ物をしてきた感じがする。お話自体は、たいそうなものでなくて良い。肩の力を抜いて、ゆったり語る小さなお話…それは、子供の心と体の中に自然に沁み入っていく。私もまた、本書に収められたお話を通して、シモンと同じように『クリスマス』を五感で感じることができた。 |