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作家の猫 2006年6月25日 初版第1刷 |
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夏目漱石から中島らもまで、作家(詩人、画家を含む)28名の猫との縁(えにし)が、写真と作品の抜粋、そして作家と縁(ゆかり)の人の追想によって綴られていく。 一枚の写真、7、8行の抜粋、1ページの回想……どの一つをとっても、それぞれの作家の猫に対する思いを、肌で感じることができる。3つ揃えば、まるで家族のような親しみを覚える。作家の素顔が、猫を媒介に見えてくる。日頃なかなか触れられない、殻の中にある赤子の柔肌のような情感を、時空を超えて共有することができる。社会は移り変わり、その中で生きる人間は翻弄され、猫だけが変わらずにいる。親が子に、子が親に抱く感情は変わっても、猫に寄せる思いは変わらない。不思議なものだ。一度、素に触れたなら、その作家の作品への味わいも一味違うことだろう。 巻末には、『猫の名作文学館』と題して、本編で取り上げられていない41名の国内外の作家と作品が紹介されている。 本書は、作家を知り、作品を知る、文学への最高の水先案内でもある。 |