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ふしぎ猫 プドレンカ

2003年9月25日 初版第1刷発行
著者:カレル・チャペック
訳者:小野田若葉
監修:ペトル・ホリー
発行所:株式会社ブロンズ新社
定価:1300円(税別)
ISBN4-89309-305-3
C0771

本書は、チェコを代表する小説家、劇作家として20世紀前半に活躍したチャペックの猫に関するエッセイ集である。
プドレンカという名の猫とその子、孫娘が毎年生み続ける子猫たちの里親探しに明け暮れながら、猫の生きようや母性をこまやかに正確に見抜き、無駄のない筆で書き綴られた本書は、70年という月日を超えて、なお新鮮で、力強く、しかも情報とメッセージに富んでる。
神秘のベールをまといながらも、本能に支配される猫、かたや本能を失い、子供の抱き方すら学ばなければならない人間に与えられた創造の力。
人間を信じて生きる家猫と他者を信じることのない野性の獣としての猫、人間も信じることを失ったとき、そこにあるのは獣の摂理。
チャペックは、猫を描きつつ、私たち人間のありように言及していく

書店に出向き、いつものごとく猫の本の並ぶコーナーに直行。そして何も考えずにこの本を買って帰りました。版型も見返しの絵も気に入って買ったのですが、文学音痴の私は、著者については何一つ知らず、また、この本が童話なのかどうかも気にせず買ったのです。正直、読み始めてしばらくは、言葉がすべっていってしまうようで、本を読んでいる実感すらありませんでした。しおりを挟んでいたなかったため、どこまで読んだのかさえ分からなくなる始末。お陰で、同じページを何度も読むことになりました。まさに『お陰』です。繰り返し読むうちに、ようやく著者の声が聞こえてくるようになったのです。挿し絵や写真を織りまぜてもわずか54ページの本ですが、言葉を無駄遣いすることなく綴られた本書のメッセージは深く、読み返すほどに心に届く言葉が増えていきます。

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