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★★★

The Phantom Cat of the Opera

2001年 初版発行
文:David Wood
絵:Peters Day
発行所:Watson-Guptill Publications
ISBN0-8230-4018-6

『オペラ座の怪人』と言えば、ご存知、超ロングランのミュージカルだ。
1910年に書かれたガストン・ルルーの原作を、アンドリュー・ロイド・ウェバーがミュージカルに仕立て、初めてロンドンで上演されたのは1986年。またたく間に大ヒットとなり、1988年にはニューヨークと日本で上演が開始された。また、映画も何本も作られている。

19世紀末のパリ・オペラ座の地下に棲み付く怪人が若手ソプラノ歌手クリスティーヌに寄せる悲恋の物語は、オペラ座の複雑な構造や広大な奈落が醸し出すミステリアスな雰囲気と、ステージや客席、そこに集まる人々のきらびやかさとの中で、現実と虚構がないまぜになった不思議な世界を作り上げている。

本書は、その猫版である。絵本にしてはかなりの文字数で、対象年令を何歳に想定しているのか疑問に思うほどだ。イラストは、全ページ見開きで描かれ、情景描写は見事だ。ただ、人物(猫物?)表現はあまりしっくりこない。怪人、クリスティーヌ、ラウルそれぞれの個性も胸の内も残念ながら伝わってこない。

私が初めてオペラ座の怪人』と出会ったのは、十数年前、お正月の深夜にNHKが二夜連続で放映した映画だった。その素晴らしさは比類なく、当時10歳そこそこだった息子が、今でもその印象を語るほどだ。2004年版の映画が封切りになった時は、期待満々で出掛けたのだが、落胆して帰る結果となった。これまでに作られた映画それぞれに味つけが異なるようだが、それほど『オペラ座の怪人』は、作り手の創作意欲をかき立てる素材なのかもしれない。絵本仕立てにしようと試みた著者もその一人なのだろう。


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