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The Patchwork Cat 1981年 初版発行 |
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サバトラのタビーには、お気に入りのパッチワークのキルトがあります。タビーが眠るのは、いつもこのキルトの上。でも、キルトは大部古くなり、ほころびも目立つようになってしまいました。お母さんは、取り替え時と思い、キルトをゴミ箱に放り込んでしまいます。タビーは、もう一眠りしようとキルトを探しますが、どこにも見当たりません。必死に探すタビー。ようやくゴミ箱の蓋の間からキルトの端が飛び出しているのを見つけます。何とかゴミ箱から取り出そうとするのですが……タビーのとんでもない旅が始まります。 どんなに古くなっても、どんなにボロボロになっても、パッチワークのキルトをこよなく愛するタビーの心情が、情景描写の中から手に取るように伝わってくる。ここまで執着する宝物を、私は持っているだろうか、とふと物悲しい思いにさせられる。捨てるよりリサイクル、という姿勢は随分浸透してきたが、それでも手放すことに変わりはない。物が溢れ、一つ一つの物に対する気持ちが薄められる中、タビーのキルトへの気持ちは、羨ましくさえある。宝物は、たくさんはありようがないのだろうか。 |