Kathleen Hale 作の Orlando の物語は、 初版がCountry Life社から出された"Orlando The Marmalade Cat"のシリーズと、John Murray が出版した"Orlando's..."のシリーズの2つがある。本書は、後者の中の一冊。
オーランド家には、魔法の絨毯があります。その絨毯の名前はファティマ。でも、このところ、ファティマの元気がありません。どうやら、ホームシックにかかってしまったようです。ファティマは、誰かを乗せないと飛ぶことができないので、オーランド一家は、ファティマに乗って、一緒にふるさとのペルシャに出かけることにしました。一日中飛び続けて、日はとっぷり暮れてしまいました。一休みと降り立ったところ、馬の王様とお妃たちがやって来て、オーランド一家をお城に招待してくれました。目にするもの、すべてがエキゾチックな中東で、オーランド一行と馬の王様の家族の交流がはじまります。
私が手に入れたのは1958年の初版本。判型は"Orlando The Marmalade Cat"シリーズの半分以下だが、モノクロとカラーのイラストがふんだんに盛り込まれている。Kathleen Hale のイラストは、コバルトブルーやピンク、黄色、緑など色使いにも特徴があるが、その色彩の発色の良さに、まず驚かされる。
今回の冒険は、中東への旅。オーランド一家と共に魔法の絨毯に乗って行き着いた先には、別世界が開けている。異文化などと肩肘はらずに、旅を、出会いを楽しみながら、知らず知らずのうちに、自分の暮らす世界とは趣きの異なる文化を受け入れていくことができる。夢と現実が見事に織り交ぜられた、素晴らしい一冊だ。
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