魔法使いのご主人に、人間の言葉が話せるようにしてもらった猫、ライオネルは、どうしても人間になってみたくなり、ご主人に人間の姿にしてほしいと頼みます。人間は、オオカミより残忍で、ガチョウより愚かで、ロバより無分別だと思っているご主人でしたが、ライオネルの必死の頼みに根負けし、願いを聞き入れてやります。
ライオネルはすぐに森に戻ると約束をして、さっそく人間の暮らす町に出かけます。この町では、独裁者の町長と悪徳町役人がやりたい放題、し放題。町の人々を苦しめています。姿だけは人間になったものの、人間のことは何も知らないラオイネルは、猫特有の運動能力で苦境を乗り越えもしますが、また、やすやすと人間に騙されてしまい、悪徳町役人の言われるままに、『白鳥の王さま』というはたごに行きます。実は、このはたご、町長が乗っ取りをたくらんでいるのです。ライオネルは、ここで知り合った妙ちくりんなタドベリ博士と共に、『白鳥の王さま』を救おうと、町長たちと戦うことに…。
結末は読んでのお楽しみ!!
猫の目を通して見た人間世界の理不尽さを楽しく軽快に描いた物語と思いきや、それだけに終わらず、人間だからこそ持ちうる感情をきちんとすくい上げているのです。
最後のページを読み終えたとき、思わず唸ってしまう、そんな奥の深いお話です。
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