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2003年10月 初版第1刷発行 |
南の島の猫と、近くの海の魚は大の仲良し。ときどき猫が魚の中に入って『ねこざかな』になります。魚の口から頭を出した猫は、海もす〜いすいと泳げます。さて、今日はクリスマス。ねこざかなは、クリスマス・ツリーの飾ってある船を見つけました。ツリーにはサンタさんがプレゼントを入れてくれるという、靴下も下げてあります。ねこざかなは、その靴下に入ってサンタさんを待つことにするのですが… わたなべゆういち氏は『ねこざかな』というタイトルの絵本で1983年度ボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞している。以来、『ねこざかな』を主人公とした絵本はシリーズ化して出版されている。だが、私は、恥ずかしながら、本書ではじめて『ねこざかな』を知った。最初のページの
という下りを読んで、いっぺんで気に入ってしまった。その発想といい、シンプルな表現といい、最高だ。もちろん、絵も何ともあたたかい。ストーリーもとても素直で、シンプルそのもの。それでいて、というか、それだからこそ、というか、読み終えた後、顔はにこにこ、心はうきうき。最高に楽しい気持ちにさせてくれる。クリスマスと云えば、雪のちらつくホワイト・クリスマスが一般的だが、ここでは南の島のクリスマスが題材になっている。それがまたいい!『ねこざかな』と一緒に素直な気持ちになれるから、子供以上に大人が楽しめる絵本なのかもしれない。 |