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★★★★

ねこは猫の夢を見る

2008年12月22日 初版発行
監修:『ねこ新聞』編集部
発行所:株式会社竹書房
ISBN:978-4-8124-3692-9
C0070

猫を題材とした文学紙、月刊『ねこ新聞』の記念すべき100号が昨年6月に刊行された。創刊間もなく、編集長が病に倒れ、6年近い休刊期間を挟んでの100号とあっては感慨も一入だろう。創刊以来、同紙のカラーグラビアの表紙には、猫をモチーフとした『名画』と、詩や散文などの『文学作品』が、イメージを合わせて組み合わされ、掲載されている。本書は、創刊から100号までの間に掲載れた、その組み合わせの中からセレクトされた32編を見開きで収めたものである。
絵も詩も、古今東西、時空を超えて自由に選ばれ、結びつけられている。ボードレールは、自身の詩「猫」に寄り添う小沢良吉の「カテリーナ」を見たなら、その思い掛けない出会いを詩に綴るかもしれない。熊谷守一は「白猫」に添えられた与謝野晶子の詩「小猫」を読み、並んで猫を眺めたいものだ、と思うかもしれない。
そして私たちは、この絵と詩が作り上げる贅沢な時と空間を満喫する。

私は、およそ文学と名のつくものには、とんと疎いのだが、ここで詩に触れる機会を得、少ない言葉に凝縮された情感の豊かさに驚かされた。幸い巻末には、掲載された画家、作家の紹介があり、一歩踏み込む道案内をしてくれる。

「ねこは猫の夢を見る」というタイトルは、本書に収められている山城隆一の詩であり著書でもある「猫は猫の夢を見る」に因んでつけられたものだろうが、最初の「猫」が「ねこ」とひらがなで表記されている。私も「猫」「ねこ」「ネコ」のそれぞれが持つコノテーションに、どの表記を使ったら良いのか、悩むことしばしばである。猫がなくときの「なく」も「鳴く」「鳴く」「泣く」「哭く」「啼く」「なく」のいずれだろうか、と頭をひねる。ひらがなになった「ねこ」に編者の意図をさぐりながら読むのも一興ではないか。


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