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2002年7月10日 第一刷111発行 |
父さん探しに森を抜けようとしたシャルバンは、道に迷い、人気のないペンションに辿り着く。ここに住みついていたタマとミケはシャルバンの旅に同行することになる。途中で出会ったキツネのスターンがこれに加わり、4匹の珍道中が始まる。4匹はそれぞれに内に秘めた思いを抱えていた。シャルバンは母さんと自分を捨てた父さんに対する怒りを、タマは猫として決して恵まれてはいないという思いを、ミケはタマに振り回されてばかりの自分へのふがいなさを、そしてスターンはともかくでたらめだった。そんな4匹に、森の中で空を見上げ続ける『宇宙の騎士』こと、クランツが問いかける。「汝、幸か不幸か」と。クランツとのやりとりを通して、4匹4様に「生きる」ことの何たるかを考え、真に「生きたい」と願うようになる。父さん探しの旅は自分探しの旅となった。 吉沢深雪氏の挿し絵の筆致もやさしく、ほわっと目頭が熱くなるストーリー。 |