『年金時代』という雑誌に、『ネコの独り言』と題して、猫の言葉で猫の主張を連載していた著者に、読者から1通の手紙が届いた。かいつまむと、桃太郎、花咲か爺さん、忠犬ハチ公、名犬ラッシーなどのお話やドラマでの犬の活躍、現代では盲導犬や麻薬捜査犬など、犬が果たす役割は大きい。猫族にもこんな功績があったら教えて欲しい……という内容だった。
著者はこの手紙を挑戦状と捕え、『猫』を改めてひもといていった。その集大成、先の手紙への返信が本書である。
現代猫の現状から、飼い猫の歴史、猫アート、現代猫の新職業まで、カバーする範囲は広い。自ら足を運んだ取材をはじめ、たくさんの書籍にも触れ、猫を多角的に考察する良きガイドブックとなっている。参考文献については、出典が明らかにされているので、本書を足がかりに、興味ある箇所は、原典にあたることもできよう。
また、元々猫を疎ましく思っていた著者が、次第に猫に引かれていく様子が、いきいきと描きだされた Cats & Me というエッセイ9編が挟まれており、1冊で2冊分の楽しみが味わえる。
そもそも、猫とは……と、ふと思うことのある方には、お勧めの一冊だ。
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