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ネコとクラリネットふき

1996年4月 第1刷
2004年9月 第9刷
作:岡田 淳
発行所:クリヨンハウス
ISBN:4-906379-58-3
C0071

ある日、『ぼく』が家に帰ってみると、ドアの前に猫が一匹座っていました。ドアをあけると何の迷いもなく、家に入っていきます。でも、なにも食べようとしません。『ぼく』はいつもどおり、大好きなクラリネットを吹き始めました。ひとしきり、吹いて、猫を見やると、何と、猫は大きくなっています。猫はクラリネットを聞くたびに大きくなります。そして……

しぼみかけてかけていた想像力を大きく膨らませてくれる一冊。
『ぼく』と猫とクラリネット……それだけで、これほど胸ふくらむ世界が広がるとは……。猫はノドを鳴らすだけで、一言も言葉を発しない。ただ、どんどん大きくなるだけ。『ぼく』も必要以上に猫の心中に踏み入ることがない。クラリネットを介して、猫と『ぼく』が一つになっていく。夢中になれるものを持ち、それ以外に頓着しなければ、心は自由に羽ばたける。
クラリネットの音色が響くとき、空気がうすいパステルカラーに染まる。シンプルなラインのイラストの心憎い演出も素晴らしい。


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