平成6年に創刊された『月刊ねこ新聞』に掲載されたエッセイを収録。各界の著名人による30編が収められている。
詩あり、民話の紹介あり、異文化圏での猫の有り様を綴ったものあり、猫に哲学を見るものあり、もちろん、自身と猫との関わりを描いたものあり……とバラエティに富んでいる。猫の捉え方や接し方、猫との距離も各人各様で面白い。
中でも、大学教授を経て執筆活動に入った柳瀬尚紀氏の一編は印象深い。3ページにわたるエッセイが、何と5文ででき上がっているのだ。一文が400字にもなる。その一文の密度の濃いこと。余分な言葉の一つも見当たらない。柳瀬版『ノラや』という内容もよい。本書に出会わなければ、柳瀬氏のことは、およそ知り得なかっただろう。猫に関する著作が他にあるなら、是非とも読んでみたい。
あなたのお気に入りの一編は、どれだろうか。
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