★★★★

ねこのシジミ

1996年9月30日 第1刷発行
2004年9月30日 第8刷発行
作者:和田誠
発行所:株式会社ほるぷ出版
ISBN4-593-56414-X
C8793

公園に捨てられた4匹の子猫、そのうちの3匹は3人の女の子が拾い、残った一匹を、女の子に言われるままにショウちゃんが連れ帰ることになりました。一番小さくて、目やにだらけのきたない子猫、それがシジミです。小さくて、貝のシジミのような模様だったのです。シジミは、ショウちゃんの家族に可愛がられ、平和な毎日を送っていきます。気がつけば十数年の歳月が流れて……

シジミの一人称で書かれたこの物語は、気張らず、飾らず、奇をてらうこともない、素直なお話だ。
「ショウちゃん、このねこもってかえれば」という女の子の言葉に、ショウちゃんは断れず、シジミを連れ帰る。迎えたお母さんも、「まあ、いいか」とシジミを受け入れる。こんな風に始ったシジミの生活は、平穏そのもの。家族に愛されながら、かと云って過干渉されるわけでもなく、猫らしく、ゆったりと生きるシジミ。そんな何でもないシジミの生きように、不思議と涙がこぼれる。劇的な顛末に目が行きがちな私たちに、シジミは、何が大切なのかを教えてくれる。

繰り返し繰り返し読みたい数少ない本の一冊だ。


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