★★★★ |
おきゃくさま 1996年4月25日 発行 |
スリランカ生まれの絵本作家、シビル・ウェッタシンハの作品。氏は15才の時に絵本を描き始め、以降多くの作品を残し、スリランカの絵本のイラストレーションに大きな影響を与えている。 あるところに、猫の国がありました。猫たちは皆働き者で、必要なものは全て自分達で作る自給自足の生活をしていました。生活に困ることはありませんでしたが、それでも猫たちは幸せではありませんでした。楽しむことを知らなかったのです。そんな猫の国にお面をかぶったお客様がやってきました。お客様は猫たちの前で音楽を奏で、踊りを踊って見せます。最初、怖がっていた猫たちも、なぜか心が浮き立ってきました。王様の前で音楽と踊りを披露したお客様は、お面をとって顔を見せてほしいと言われるのですが… お客様が来るまで、目を釣り上げてせっせと仕事に励む猫たちの姿に、一昔前の日本人が重なって見えます。今の日本人は、仕事も楽しみもどちらも半端に思えます。猫の国の猫たちが、楽しみを覚えた後、目を釣り上げずに、しかも精一杯仕事に励んでいるとしたら、素敵ですね。 お客様の極彩色の衣装が、エキゾティックでありながら、何となく日本的なのは、同じアジアの作家の描いたものだからかもしれません。アジアの人々と知らず知らずに共有しているものは、たくさんありそうです。 |