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2002年10月25日 初版1刷発行 |
何度も生まれ変わり、その度に建築家に生まれつく猫。彼は「造形」と「共生」を考える。「形」は「機能」を具現化したものだろうが、時を経て、その「機能」を失ったものが存在するのは「美」ゆえだろうか。だが、誰も「美」の意味を説明できない。「美」を見たことも、「美」に触れたことも、「美」をなめたことも、誰もないのだ。そんなものが本当にあるのだろうか。建築家の猫は「美」の意味を問い続ける。 猫をモチーフとしたアクリル画ではお馴染みの新進画家、佐久間真人氏の独特の色彩と筆致の絵に、ミステリィ作家、森博嗣氏の思索的な文が呼応する作品。ウン十年前の学生時代に読んだ、安部公房の「機能美」についての一節を思い出した。 佐久間氏の作品を楽しみたい向きには、嬉しい一冊だろう。 |