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2002年9月30日 初刷 |
一枚の写真に吹き出しを付けて、好き勝手な台詞を書き込むと、もともとの写真とは全く別の場面設定やストーリーが出来上がって、実に愉快だ。本書は、ちょうどそんな感覚で出来上がっている。ただし、著者はここに一ひねりを加え、猫のいる風景を一期一会の『お茶会』に見立てている。猫は主人、猫をとりまく建物や種々雑多なものが、茶室のしつらえという訳だ。路上観察学会の会員たる著者の観察眼は鋭く、持ち前のあそび心と相まって、何でもない風景を実に愉しく見せてくれる。最初は「????」という感じでページを繰っていたが、だんだんと感化されている自分に気付いて苦笑する。著者の提唱する『脳内リゾート開発』が、読み手の脳の中で進行しているということだろう。 写真を最初に出さず、先に著者の描き出す『お茶会』の模様を文字として読ませ、まず読者に想像させる、という演出も心憎い。 |