|
ねこ ねこ こねこ 1969年12月1日 1刷発行 |
|
本書の巻末に、訳者が『作者と作品について』と題した小文が載せられている。その大半を、本書の画家、ヤーヌシ・グラビアンスキーについて費やしている。また、カバーの見返しに掲載された二つの書評も同様だ。
朝日新聞のこの一文と、56刷と増刷を重ねらていることが、すべてを物語っているのではないだろうか。 グラビアンスキーの作品がなぜここまで賞賛されるのか……その答えは表紙画一枚でも十分だろう。ページを繰るたびに、見る者の胸は喜びで満たされていく。自由にテンポよく動く筆が描き出すのは、滑らかな皮毛を通して伝わる猫たちの体温であり、息づかいであり、胸の鼓動だ。 |