10匹の猫がつぎつぎと紹介されていく。見開きの右ページ一杯に猫が描かれ、左ページには、たった2行、3行の自己紹介や他者紹介が載せられている。
初めて読んだとき、あまりにあっけなく最後のページまで辿り着いてしまい、ぴっくりするやら、拍子抜けするやら。根がケチンボな私は、「そんなあ〜」という思いで、もう一度最初から、うんと時間をかけてページをめくる。それでも、わけもなく最後のページに来てしまう。同じことを繰り返すうちに、気付いたことは、どの猫も同じような筆致で描かれ、模様こそ違えど、基本的にはどれも同じ丸っこい形をしているのに、その性格の違いが浮き彫りにされていることだった。ポイントは目なのだろうか…などと思い始めると、あのページ、このページをいったり来たり。これがなかなか楽しい。たった、2〜3行のことばも、最初は「それで?」と思ったが、この短さがいいことにようやく気付く。10匹の猫たちの絵を見ながら、あれこれ想像を膨らませ、それぞれの日常を思い描いてみる。
日頃、情報に溺れそうになりながら、いつの間にか、情報を捨てることだけ覚えて、想像力欠如の一途を辿っているような気がする。情報の少ないところに想像の花を咲かせる喜びが味わえる一冊だ。
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